「東大の値上げ」学生達が首を傾げる"問題の数々" 値上げの使い道など、疑問を抱く学生は多い

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学費値上げの上限は文科省の省令で決まっていて、今回東京大学が値上げした20%がその上限にあたる。しかし、国がもっと値上げができるように省令を変えれば、運営方針会議によって学費の値上げが決められていく可能性が高い。4年生の学生は不安をこう口にした。

「運営方針会議は大学の運営をより不透明にするものです。その運営方針会議によって、改革と称するものが進められていくことになるのでしょう。これから大学院に進学しようとしている中で、文系の大学院生が軽視されていくのではないかと危機感を感じています」

文系院生が増えないのが課題だが…

文系の修士課程について、新たな支援策を検討しているかどうかを東京大学に質問したところ、回答は否定的なものだった。

「学問分野ごとに授業料や学生の処遇を変えるシステムは、学部・研究科それぞれの教育研究の質に望ましくない格差を生みだしたり、学問分野間の分断を招いて総合大学としての一体性が失われたりする危険性もあり、『学部や研究科をまたいだ教育』の実現にも大きな妨げになるなど、その影響については極めて慎重に考えなければならないものと認識しています」

文系の大学院生が増えないことが課題になっている中で、今回の値上げ決定は、修士課程進学者のさらなる減少を引き起こすのではないだろうか。

田中 圭太郎 ジャーナリスト・ライター

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たなか けいたろう / Keitaro Tanaka

1973年生まれ。1997年、早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年からフリーランスとして独立。雑誌やWebメディアで大学、教育、経済、パラスポーツ、大相撲など幅広いテーマで執筆。著書『パラリンピックと日本 知られざる60年史』(集英社)、『ルポ 大学崩壊』(筑摩書房)。

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