絶望パスタの「ホームズ」チェーン展開の真相 こだわりオーナーシェフの味を次代に承継
フォークで巻き取って口に入れると、ニンニクの香りと味がいっぱいに広がる。濃さやくどさというものはまったく感じられない、優しい味だ。いろいろな具材の味が渾然としていて、開発したシェフの試行錯誤が伝わってくる。食べ終わった後のニンニク臭はあるが、1号店も長年、勤め人らしき男女がランチに訪れているそう。人と会う予定がない日などに工夫して通っているのだろう。それに今はマスクが助けになっているのかもしれない。
後日、本店の「絶望のスパゲッティ」も賞味した。味の違いはわからなかったが、ニンニクは東急プラザ店ほど際立っておらず、より料理に溶け込んでいた。別の客が注文した、ニンニクとトマトを使ったメニューが運ばれてきた際、ニンニクの香りが漂ってきたため、匂いだけならそちらに近いように感じた。
本店は午後2時過ぎに訪ねたがまだ数人並んでおり、ランチ時間帯ラストオーダーの3時まで、ほぼ満席状態だった。女性が多いが、男女のカップルや男性1人客も入店している。
絶望のスパゲッティ以外のメニューを注文している人も多く、次はほかのメニューを食べてみたいと感じた。本日のおすすめの小皿サラダも100円でたっぷり入っていて、自家製だろうドレッシングも含めて満足感が高かった。
なお、ホームズパスタのスパゲッティはできればシェアせず、1人1皿食べることが推奨されているという。確かにそのほうが熱々の状態で食べられるし、麺と一緒に栄養が溶け込んだスープも最後まで楽しめそうだ。
「絶望のスパゲッティ」開発秘話
あまり取材には応じないというオーナーシェフに、メールで質問を送ってみた。絶望のスパゲッティについてのみ、以下の答えをもらうことができた。
新宿の新店舗をオープンする際に、新しいメニューを出して多くのお客様にお越しいただきたいと開発。
イタリアに同じ名前のスパゲッティがあった。お金がなく食材を買えない人が、ニンニクと唐辛子とブラックオリーブだけのパスタを食べていたため、絶望のスパゲッティと呼ばれた。新作がソースにブラックオリーブを多用するスパゲッティになったために、名前を絶望のスパゲッティとした。
発売当初なかなか売れなかったが、少しずつ病みつきになるお客様が増えていき、メディアでも取り上げられるようになって、絶望のスパゲッティを目的に行列ができるようになった。
話の種だけにでも食べたくなるだろうが、一度食べるとまた食べたくなる、そんな味なのだ。
そのほか、東京レストランツファクトリーと提携してオープンした店舗では、同社のピザ生地などのノウハウから、イタリアンメニューが追加されている。
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