NTT、人手不足のバス路線をテクノロジーで救う 名古屋で実証開始、来年には首都圏でもテスト
2つ目は通信インフラの提供だ。自社の強みであるローカル5G技術を活用し、自動運転に不可欠な安定した遠隔監視環境の実現を目指す。特に重要なのが、一般の携帯電話回線が混雑する都市部での安定性確保だ。
3つ目はNTT東西が持つ地域との結びつきの活用だ。「すでに全国各地でAI運行バスや自転車シェアリングなどのモビリティサービスを展開しています。この経験と人材を活かし、自治体や交通事業者との連携を深めていきます」(清水氏)。
実用化は目前に
自動運転技術の実用化は、もはや技術的な課題というよりも、社会受容性の問題に移行している。May Mobilityは既にアメリカ・アリゾナ州で完全無人での運行を実施しており、ミシガン州でも近く開始予定だ。
日本でも制度面での整備は進んでいる。限られたシーンでドライバーが不要となる「レベル4」は法制度上で認められており、実用化に向けた環境は整いつつある。一方で、日本特有の課題も存在する。「アメリカは道路が広く、駐車車両を避ける際も対向車線をはみ出す必要がほとんどない。日本の道路事情に合わせた技術調整が必要です」とNTTで自動運転の研究開発に携わる市原孝浩氏は説明する。
実証はすでに公道でも進んでいる。愛知県名古屋市では、全国初となる都市部幹線道路での自動運転車両による定期運行を実施中だ。名古屋駅付近から「STATION Ai」(名古屋市昭和区)までの区間を、若宮大通を中心とした公道で走行。May Mobilityの自動運転システムを搭載した車両をセーフドライバーが搭乗するレベル2で運行している。現在の技術水準では、センサー性能の制約から時速48km程度が上限となっているが、来年度には60km超への引き上げを計画。一般道での実用化を視野に、着実に進化を遂げている。
調布の実証拠点でも構内でのレベル2での走行を行っており、2024年度内には公道走行を予定している。
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