NTT、人手不足のバス路線をテクノロジーで救う 名古屋で実証開始、来年には首都圏でもテスト

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レベル4での実証実験については、NTTは2025~26年度の認可申請を予定しているが、実現時期は社会受容性の確立や技術の日本向け適応などを見極めながら慎重に判断する方針だ。May Mobilityはアメリカですでにレベル4運行を実施しているものの、日本の道路環境や規制への対応には時間を要する見通しだ。

遠隔監視のコスト効率がカギ

「1人のオペレーターで何台監視できるかが重要になる」。清水氏は、事業採算性確立の要諦をこう説明する。自動運転システムを導入しても、1台に1人の監視者が必要では人件費の削減につながらない。複数台の同時監視を実現できて初めて、運用コストの圧縮が可能になる。

遠隔監視システムは2つの画面で構成される。1つは複数の車両の位置をリアルタイムで表示する運行管理画面。もう1つは監視カメラの映像だ。基本的には運行管理画面を注視し、異常が検知された場合にカメラ映像で状況を確認する仕組みとなっている。

遠隔監視システム
遠隔監視システムのイメージ。商用化段階にはバス会社の営業所の一角などにオペレーターが配置されることになる(筆者撮影)

「遠隔操作ではなく、遠隔監視に徹している点が特徴です」と市原氏は説明する。例えば路上駐車車両を避けるケースでは、車両が自律的に判断できない場合、遠隔監視者が周囲の安全を確認して進行の判断を行う。ただし、ハンドル操作などは行わず、あくまで車両の自律的な判断をサポートする形だ。

May Mobilityのアメリカでの実証実験では、1人のオペレーターが4~5台の車両を同時に監視している。日本の場合、道路が狭く、通行する車両や歩行者も多いため、監視可能な台数や必要な映像品質について、日本の交通環境に即した形で見極めていくという。

May Mobility
May Mobilityの運行管理ソフトウェア。1つの管理画面で複数の車両を監視できるようになっている(筆者撮影)

こうした遠隔監視の実現において、NTTが競争力の源泉として位置づけるのが、ローカル5Gの戦略的活用だ。

「レベル4では遠隔監視の重要性が増し、それに伴って通信の安定性が死活的に重要になります」とNTT東日本の玉木泰人氏は説明する。特に駅前など人が多く集まる場所では、一般の携帯電話回線が輻輳して映像が途切れるリスクがある。そこで、キャリア通信とローカル5Gを組み合わせることで、安定した遠隔監視を実現する考えだ。

NTT
自動運転の監視用の映像伝送にローカル5Gを活用する実証実験を行っている(NTT提供)
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