将来の骨折を防ぐ「骨ケア」30~40代から必要な訳 上皇后美智子さまも10月に右大腿骨上部を骨折

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骨粗鬆症の最大の問題は“症状がない”こと。気づいたときにはすでに進行してしまっているケースが少なくないそうだ。矢吹医師は「残念なことに、骨折して初めて骨粗鬆症だったとわかる人がとても多い。皆さん、そうなる前に対策をとっておけばよかったと話されます」と言う。

では、骨折して後悔しないよう、やっておくことは何か。

まず大事なのは、「更年期にさしかかる30~40代のうちに『骨密度検査』を受けること」だという。

骨は古い骨を壊す「骨吸収」と、新しい骨を作る「骨形成」によって新陳代謝を繰り返している。女性ホルモンの1つ、エストロゲンはこの代謝のサイクルを正常な状態に保つ働きを持っているが、閉経後、エストロゲンの分泌量が減少すると、新陳代謝のバランスが崩れ、骨を壊すほうが勝ってしまう。

結果、新しい骨を作るほうが追いつかなくなるため、閉経を迎える50歳前後から、骨量は急激に減少し始める。閉経前後の5年間を更年期と呼ぶが、この間に骨密度は約20%減るという。

「骨密度に関しては年代別の平均値も出ていますが、女性はだれでも骨密度が減ってしまうため、平均と比較してもあまり意味がありません。

その点、骨密度が少なくなり始める前に一度測っておくと、その数値がその人の基準となるので、そこから今後どのように骨密度が減っていくかの予想がある程度できますし、対策をとった場合の効果を見る指標にもなります」(矢吹医師)

30~50代で骨粗鬆症になることも

自分はまだ30代、40代だし、骨密度の低下は高齢者だけ気をつければいいのでは……と思っている人もいるかもしれない。

だが、最近では極端なダイエット、喫煙や過度の飲酒なども骨粗鬆症のリスクと考えられており、30~50代女性の骨粗鬆症も注視されている。

しかも、先に述べたように骨密度のピークは20~30歳ごろだが、矢吹医師によると、成長期に栄養不足だったり、日によく当たらなかったり、定期的な運動を行わなかったりした場合、ピーク時の「最大骨密度」が平均に足りていない人も見られるという。

そうした人は骨粗鬆症を早く発症するリスクが高いともいわれている。いずれにしても、早いうちに自分の骨密度を測っておけば、後々の参考にすることができる。

WHO(世界保健機関)が開発した「骨折リスク評価法(FRAX:40歳以上が対象)」の12の質問に答えると、自分が10年以内に骨折する確率が算出される。まずはチェックしてみてほしい(※外部配信先では閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。

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