O2Oビジネスによる新しい消費行動 《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命 第2回》

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独力で頑張って探すのではなく、友人のおすすめを簡単に知ることができ、感想を共有できる。さらに、ソーシャルメディアによって、個人の感動が、リアルタイムに場所や時間や利用者の立場の壁を超えて、あっという間に自分のソーシャルメディア上の人間関係(ソーシャルグラフ)に拡散する。

現在、ソーシャルメディア、位置情報、スマートフォンを活用したサービスは、ネット業界でブームとなっている。例で挙げた「Facebookチェックインクーポン」のほかにも、全米で人気の位置情報サービス「Foursquare」、リクルートの「Recocheck」、ライブドアの「ロケタッチ」などが有名だ。

電通は、ソーシャルメディア時代の新しい消費行動を「SIPS」と名付けており、飲食店の例にも挙げたようなO2Oビジネスにも当てはまる。SIPSとは、共感(Sympathize)、確認(Identify)、参加(Participate)、共有・拡散(Share、Spread)から成る。自分で情報を探さず、入ってきた情報に対する「共感」から始まり、情報を自分で「確認」し、消費行動に「参加」し、その行動を「共有・拡散」できる。さらに消費者は、肌身離さず身に着けているスマートフォンにより、いつでも、どこでもSIPSの行動ができる。

三菱総合研究所未来情報解析センターの小関悠氏は、ソーシャルメディア時代のマーケティングについて、「ただ注目されるのではなく、共感されることが求められる。消費者が参加し、拡散したいと思わせる仕組みが必要。ソーシャルメディアは、共感を集めやすい、拡散を生みやすい点が従来メディアにない強みがある。拡散から共感へのサイクルを作ることができれば、ソーシャルメディアはさらに機能する」と語る。

SIPSのあとに再びSympathize(共感)に戻る流れを生み出すことで、さらに好循環のサイクルが回る。消費者の心をつかむ、商品やサービスを届けて、共感の連鎖を生み出すことで、新しい消費者が加速度的に増えていく。

以上のようにO2Oビジネスにおける消費行動は、従来型とまったく異なる。スマートフォンによって、情報武装した消費者は、ソーシャルメディアにより、さらに束になって力を強めている。

企業は、消費者へのアプローチそのものを根本的に見直すことを余儀なくされるだろう。

松浦 由美子 ITアナリスト

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まつうら ゆみこ / Yumiko Matsuura

ITアナリスト。

ITエンジニアとして半導体ウェハ検査装置の開発や原子力・ETCなどのインフラ制御系システムの開発、大手印刷会社のIT技術センター部門でセキュリティ関連のサービスや画像情報データベース、地図情報サービスなどのWeb開発に携わる。現在は、「ITからリアル世界への翻訳者」として、テクニカルな話題を一般読者にわかりやすく解説することをモットーに活動中。

著書に『O2O 新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける』(東洋経済新報社、 2012.10)、『O2O、ビッグデータでお客を呼び込め!- ネットとリアル店舗連携の最前線』(平凡社新書、2014.1)、東洋経済オンラインにて「O2O ビジネス最前線」を連載中。

テレビのニュース番組やラジオ、講演など「O2O」に関する出演多数。
連絡先:松浦由美子公式ページ

 

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