日曜劇場「海に眠るダイヤ」の舞台"軍艦島"の圧巻 当時、最先端の建造物と生活の痕跡がいまも残る

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軍艦島
かつては「緑なき島」と呼ばれた。現在は所々に緑が芽吹き、幻想的な光景が広がる(写真:軍艦島コンシェルジュ&デジタルミュージアムofficial)

島に家々がひしめき合う「海上の街」は、特に戦後、人口が急激に増加しました。最多人口は、1959年の5259人。このときの人口密度は、8万3600人/平方キロメートルで、これは世界最大の密集度です。

そうなると住宅が足りなくなり、しかし土地もないので上に伸ばすしかない、と、東京よりも早く日本初の鉄筋コンクリート造の高層住宅が作られました。1960年代に島は最盛期を迎えますが、その後は安全に採炭しうる石炭が枯渇し、採炭可能な石炭をすべて取り尽くした1974年に炭鉱が閉山、ついに無人島となりました。

近年では、閉山後の保存活動が実を結び、2015年に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の中の構成遺産の一つとして、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。 

軍艦島
多くの人が生活していた頃の端島(写真:軍艦島コンシェルジュ&デジタルミュージアムofficial)
軍艦島
現在の端島の様子。廃墟に緑が生い茂る(写真:軍艦島コンシェルジュ&デジタルミュージアムofficial)

撮影関係者が憧れる「端島」

無人島になって以来、離島という特殊な地域性から、朽ち果てていく廃墟がそのまま「保存」される形となった端島。いわゆる「廃墟シーン」の撮影に適した独特な雰囲気を有していたことで、これまで数多くの映画やドラマ、ミュージックビデオなどのロケ地として使用されました。

中でも、一躍その名を有名にしたのは、2012年公開の『007 スカイフォール』です。このときはロケハンのみの実施で、厳密には端島でのロケはありませんでした。

しかしながら、作中に出てくる廃墟の街(「デッド・シティ」と呼ばれている)として撮影されたセットが、端島をモデルとしていたことが公式に映画のエンドロールにも示されており、『007』ファンが端島を訪れる「聖地巡礼」現象が起きました。

また、日本の作品では、ドラマ『深く潜れ〜八犬伝2001〜』(2000年、NHK。鈴木あみさん主演)で、大掛かりなロケが行われました。

軍艦島
現代の端島(筆者撮影)
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