日曜劇場「海に眠るダイヤ」の舞台"軍艦島"の圧巻 当時、最先端の建造物と生活の痕跡がいまも残る

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このように、多くの撮影関係者の憧れる「廃墟シーン」が撮影できる端島ですが、映画や大規模なドラマの撮影となると、100人以上のスタッフやキャストが一度に移動し、大規模な機材輸送の必要も出てくることから、現実的には困難が伴いました(たとえば、映画ロケに必要な仮設トイレの設置など)。

加えて、端島がユネスコの世界文化遺産に登録されて以降は、文化財保護の観点から撮影できるエリアが徐々に限定されていく形となっており、今後の撮影はさらに難しくなっていくことでしょう。

軍艦島の夜景
炭鉱は3交代制で24時間稼働していた。夜間も常に明かりが灯り、「眠らない島」だった(写真:軍艦島コンシェルジュ&デジタルミュージアムofficial)

『海に眠るダイヤモンド』で印象的なあの場所

そんな中で、2015年公開の映画『進撃の巨人』では、作中の重要なシーンである退廃した街の撮影地を探しており、端島でのロケハンが行われることとなりました。撮影準備中の2014年、旅行会社でロケ地となった地域の観光活性化に携わっていた筆者も樋口真嗣監督によるロケハンに同行しました。

筆者自身、上陸は2回目でしたが、1回目のときよりも明らかに廃墟化が進行している印象でした。

このときは、当時からすでに一般の立ち入りは許可されていなかった9階建ての「65号棟」の内部に入り、その65号棟の屋上幼稚園や住居の跡など、貴重な生活の痕跡を見ることができました。

結果、端島でも撮影が行われることとなり、実際の劇中シーンでも、その65号棟の前や、端島小中学校のグラウンドなどで撮影が行われています(余談ですが、この『進撃の巨人』では、端島以外にも茨城県内の廃墟でロケをしています)。

軍艦島65号棟
多くの人が暮らしていた頃の65号棟。公園もあり、子どもたちが駆け回った(写真:軍艦島デジタルミュージアム

今回の『海に眠るダイヤモンド』では、第1話のラストで印象的な階段が登場しています。ここはかつて「地獄段」と呼ばれていた階段で、人々が行き交い、活気のある端島を象徴する場所でした。

今でも「16号棟」の横にそのままの状態で残っています。筆者も実際にこの「地獄段」を上り下りしましたが、なかなかのキツい階段だったことを覚えています。

また、第2話では、集合住宅の各階の家庭からゴミを集めるシーンが登場しましたが、各階から出たゴミを階下に集める「ダストシューター」の仕組みも残っていました。これは現在のタワーマンションにも通じる設備で、当時、端島がいかに最先端だったかがわかります。

海に眠るダイヤモンド
謎の歌手・リナ(池田エライザさん)が「地獄段」で歌唱したシーン(写真:『海に眠るダイヤモンド』公式サイトより)
地獄段
在りし日の「地獄段」。多くの島民が行き交った(写真:軍艦島コンシェルジュ&デジタルミュージアムofficial)

いま「端島」を訪れたら何が見られる?

さて、この端島には、今も実際に訪れることができるのでしょうか。

答えは、現在でも上陸可能です。長崎の港から船で訪れることができ、「軍艦島」の名の由来ともなった、その独特な形の島の全景を海上から見ることができます。

また、島に上陸できるツアーも、複数の遊覧船会社が運営しています(天候によって上陸できなかったり、催行が中止になったりする場合もあり)。

しかしながら、島に残る遺構の保存の必要性により、ツアー参加者が実際に訪れることのできる場所は限定されています。

ツアーでは、桟橋から下船して、全長200メートルほどの遊歩道を進み、第1から第3までの見学広場からは、当時の遺構の一部を外から見ることができます。

特に、一番奥の「第3見学広場」から望む、7階建ての「30号棟」の遺構はハイライトで、集合住宅の様子から、当時の賑わいを十分にイメージすることができます。    

また、長崎港からの船旅の途中には、端島同様に炭鉱の島であった「高島」や「中ノ島」の横も通り、さらに長崎港付近では、長崎の観光名所である「グラバー園」や現在も現役である巨大クレーンなどを海上から見ることができます。

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