そんな中で、いまだ若者要素を色濃く残しているのが、今回のMIYASHITA PARKである。
下層のRAYARD MIYASHITA PARKはルイヴィトンやグッチといったハイブランド、その他にも数多くショップが入居していることから、昼間こそさまざまな客層がいる。しかし、夕方以降になるとその客層が一変する。
具体的には、屋上の宮下公園に若者が数多く集まるのだ。芝生に腰を下ろしながら、あるいはそこらに置かれた椅子に腰かけながら、しゃべったり、おそらくTikTok用だろうと思われる動画を撮影したりしている。
昼間と日の暮れた夕方、両方に宮下公園を訪問したが、誇張ではなく夕方は昼間の2倍、いや3倍以上の人がいる。
昼間は家族連れや外国人もおり、まんべんない属性の人がいたが、夕方は見た限り学生や20代前半と思しき人が非常に多い。
この点について、都市ジャーナリストの谷頭和希氏は自身の記事で次のように述べている。
「ミヤシタパークを見ると、まだまだ多くの若者が渋谷にはいるのだと思わされる。渋谷から若者が減ったと思えるのは、たぶん『無料』で居座れる空間が減ってしまったからだろう」(マネー現代『渋谷に若者が再び集まりだしていた…渋谷“ミヤシタパーク”で見た「異様な光景」』、2024年2月19日公開)
座れない街・渋谷で、芝生が広がる
谷頭氏の書いた通り、宮下公園は無料。また、近年の公共空間は「排除アート」と揶揄される、例えば「座れはするものの横になることはできない」、あるいは「長時間座りにくい」といった使いにくいベンチ(というにはあまりにもわびしいもの)などに満たされている。
もちろんこの場所にも座りにくいベンチのようなものもあるが、何より多くの人が座るに足る芝生も広がっている。
お金はないけど、とにかく時間をつぶしていたい。あるいは、友人と話したい。そのような若者がどこからともなく集まっているのが、このMIYASHITA PARKなのだ。
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