窪田:とても大事な考え方ですね。子どもにとってたった一回の体験でも一生の財産になると考えると、社会全体として投資すべきですね。
春山:はい、私も山を登るようになったのは20歳になってからです。子どもを山に連れていっても、そのときは好きになってくれないかもしれない。でも、その体験は決してムダにならず子どもの中に残ります。そして、将来、山好きになるケースも少なくないでしょう。
学校教育でも自然体験を得られる社会に
窪田:以前の回で、台湾の小学校では近視抑制のため1日2時間の屋外時間を確保するカリキュラムを組んでいるという話をしましたが、日本でもぜひ自然体験を学校教育の中に取り入れてもらいたいですね。
春山:体育のカリキュラムに山登りを入れてもいいですね。もしくは理科などの他の科目に自然体験を月1回でも入れる。学校の先生が連れていくとなるとリスク管理などが大変ですから、そこは外部の専門家やガイドの力を借りるのも一案です。
そして、できれば1クラスを半分に分け、多くても15〜20人程度の人数で過ごしてもらいたい。一人ひとりが自分なりに自然と向き合えるといいですね。
窪田:教育機関でも、近視抑制のためだけでなく、一歩踏み込んだ「子どもの将来の土台づくり」という観点で、外遊びの時間を工夫して設けてもらいたいですね。
春山:こうして発信することで変わっていくなら嬉しいです。最後に、先生にとって「地球とつながるよろこび。」を感じられたエピソードがあれば教えていただけますか。ちなみに、私は山を歩いているときに、自分も「この世界の一部なんだ」と思えますし、この世界で生きて在ることのよろこびを感じます。
窪田:私はアラスカに行ったときですね。電波も光もない、一瞬恐怖さえ感じるような人里離れたところで壮大な自然に接したとき、自分がいかにちっぽけな存在かと思い知らされました。
自分の存在など取るに足らないと感じる一方、自然の懐の深さも同時に感じました。社会は人をジャッジするけれども、自然は人をジャッジしない。自然にありのままの自分を受け入れてもらえたと実感しました。今まで覚えたことのない感覚でしたね。
春山:先生がアラスカの自然のなかで得られたような経験を、一人でも多くの子どもにしてもらいたいですね。
窪田:そうですね。そのためにも、起業家という21世紀の冒険家として、より健やかな未来を次世代に渡していきたいですね。
(構成:石原聖子)
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