「サブウェイのワタミ」へ大転換、脱居酒屋の衝撃 現在の稼ぎ頭は宅食事業、65歳渡邉会長の本気
その後、「和民」の不採算店舗の撤退や「ミライザカ」や「三代目 鳥メロ」といった業態へ転換を進めたが、コロナ禍で再び大幅赤字に転落するなど、苦しい状況は続くばかりだった。
渡邉会長は2022年、東洋経済の取材に対して「居酒屋のマーケットはコロナ前比で7割にまで縮み、永遠に戻らないのではないだろうか」と語るなど、居酒屋業態の存続に危機感を示していた。
足元で居酒屋事業は回復傾向にあるが「焼肉の和民」など、居酒屋以外の出店も増やしている。今回のサブウェイとの契約も、これまで長きにわたって進めてきた多角化、脱居酒屋戦略の一環といえる。
拡大のカギはデジタル化
では、サブウェイをもくろみ通りに出店できるのか。居酒屋の場合、駅前や繁華街が主要な出店立地だ。ファストフードは商業施設や郊外ロードサイドにも出店しており、居酒屋と異なる面も多い。調理や接客などの店内のオペレーションも、居酒屋や焼き肉店と異なるノウハウが求められる。当然、人材の採用や育成も急務だ。
やや複雑な注文方法も課題の一つ。サンドイッチを選択し、パンや野菜を自ら選んでいく注文方法は、サブウェイ独特のスタイルだ。リピーターにとっては自分の好みに合わせてカスタマイズできる形式だが、初めて来店する人にとってハードルは高い。
現在は注文用のタブレットを導入したり、注文の流れ、順序を明確にしたりするなど工夫を凝らしている。今後、幅広い客を取り込む中で、デジタル化や注文方法の改善は積極的に取り組むべき課題になる。
また、現時点で物流や仕入れなど、宅食、居酒屋業態とサブウェイの目立ったシナジーはなさそうだ。あくまで独自に成長戦略を練る必要がある。
ファストフードながら、野菜を売りにしたサブウェイはマクドナルドなどのハンバーガーチェーンとは一線を画す存在だ。健康需要が高まる中で、サブウェイを選択する消費者が増えていく可能性は十分にある。サブウェイはワタミにとってまさに第二の創業、社運を懸けた戦いとなる。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら