保有する知的財産を洗い出し、有効活用の方法を探れ


 だが、研究所や研究者の統制の難しさは、何も日本企業に限ったことではない。今ではP&Gに代表されるように、オープンイノベーションによる外部知財の有効活用によって、開発時間の短縮に成功している米国大手企業も、かつては同様の悩みを抱えていた。

それが、1980年代中盤以降、財政悪化と景気低迷によって、IBMやGEといった巨大企業ですら大ナタを振るわざるをえなくなり、当然の帰結として研究開発費用も大幅に縮減された。

GEでは、航空機エンジン開発の規模がピーク時の数分の一にまでカットされている。このため、必然的にすべてを自社内部で賄うことはできなくなり、外部と提携せざるをえない状況となった経緯がある。いわば外部要因によって転換を余儀なくされたわけだ。

日本企業もそう遠くない将来に思い切った決断が必要になる時が来るかもしれない。だが、ここまで徹底せずとも、やれることはある。

自社がカネをかけるべき研究開発のターゲットと、現時点で手元にある技術、外部に求める技術は何か。最低限、この程度の分類をし、経営戦略の全体像の中での研究開発戦略、自社の技術戦略と外部とのアライアンス戦略に落とし込んでいく。研究開発・技術だけを切り離して考えると、担当者の熱意にほだされて冷静な判断ができなくなり、方向性を見失うことになる。

さらに外部に求める研究開発・技術についての戦略も必要だ。単純にカネを払って調達するのか、共同して作り出すのか。カネを出して買ってくれば時間の節約にはなる。時間の短縮は、オープンイノベーションの目的の一つではある。しかし、買ってくるだけでは、自社の技術や開発スキルを高めることはできない。ここに難しさがある。

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