巨人・阿部監督が「管理職のお手本」と言える理由 令和だからこそ輝く、厳しく優しいマネジャー

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他に阿部監督の手腕でユニークだったのが「阿部ノート」。阿部監督は“メモ魔”として知られ、試合中の疑問や怒りなどをノートに書き留めているという。中には「『待て』のサインで打ちやがった」「こんなこともできないのか」といった内容もあるとか。

組織を率いる立場として、一時の感情で行動せず、常に冷静にマネジメントをするのは重要なこと。阿部監督のこうしたやり方は「アンガーマネジメント」として有効だと横山氏は話す。

「自分の感情をコントロールするうえで、自分の感情を客観的に見るのは非常に重要だ。人は主観的になるほど感情をコントロールできなくなる。そのため、すぐに感情を外に出さずに文字に書いて客観視するのは、アンガーマネジメントの基本といえる。

もし阿部監督のように、ノートでアンガーマネジメントをする場合は、感情だけを書くのではなく出来事も詳しく書くといいだろう。そうすることで、どんな原因によって感情が乱されたのか、パターンを分析できる」

卓越した選手時代を過ごし、二軍監督時代は昭和なマネジメントスタイルが物議を醸すこともあった阿部監督。しかし、マネジャーとして成長していこうという姿勢は、ビジネスパーソンにとっても参考になるはずだ。

ベテランと若手をバランスよく起用

ここまで触れた時代に即した変化、そしてアンガーマネジメント以外にも、阿部監督のさまざまな采配が光った1年だった。

ついつい頼ってしまいがちなベテラン起用では、絶不調に陥った坂本勇人の二軍調整を臆さず断行。坂本は再昇格後、シーズン最終盤の阪神タイガースとの“天王山”で殊勲打を放つなど大一番で活躍を見せた。

若手起用では、14年ぶりとなるルーキー3人の開幕一軍入りとともに、同じく開幕一軍を勝ち取った高卒2年目の浅野翔吾を粘り強く起用。一昔前のジャイアンツ像とは異なる、フレッシュな面も見せながら1年を戦い抜いた。

今季、ジャイアンツは春季キャンプのキャッチフレーズとして「笑うアベには福来たる~新風の先に笑顔のSeptember~」を掲げた。見事に笑顔の9月を過ごした阿部ジャイアンツだが、10月も「最高です」と監督の笑顔が見られるのか。

クライマックスシリーズのファイナルステージでは、横浜DeNAベイスターズにまさかの2連敗となっているが……注目したい。

前回の記事はこちら:1年で優勝、巨人・阿部監督の「若手を律する」凄み その手腕を、マネジメントの観点から考える

鬼頭 勇大 フリーライター・編集者

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きとう・ゆうだい / Yudai Kito

フリーライター・編集者。熱狂的カープファン。ビジネス系書籍編集、健保組合事務職、ビジネス系ウェブメディア副編集長を経て独立。飲食系から働き方、エンタープライズITまでビジネス全般にわたる幅広い領域の取材経験がある。

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