AI翻訳「ポケトーク」アメリカ市場を席巻の原動力 専用端末、セキュリティ重視で公的機関に浸透
観光地の持続可能な発展にも貢献しており、小豆島では行政やJTBと連携し、「20年先の小豆島をつくるプロジェクト」に参画している。ポケトークを通じて訪日外国人と地域住民のコミュニケーションを円滑化し、オーバーツーリズムなどの課題解決に取り組んでいる。
企業での活用も進んでおり、モスフードサービスや玉三屋食品では、ポケトークを導入して外国籍社員とのコミュニケーションを支援している。外国籍社員へのトレーニングや現場での意思疎通に活用され、多様な人材の活躍を促進している。
さらに、ソフトバンクとの業務提携を強化している。ソフトバンクは現在138の自治体と包括協定を結んでおり、これらの自治体や教育機関へのポケトーク導入を推進している。例えば、宮崎県日向市では、デジタルノマド誘致の一環としてポケトークの活用が検討されている。
日本発テック企業の新たなグローバル戦略モデル
ポケトークのアメリカ市場での成功は、AI翻訳機器市場における新たな可能性を示している。個人向けから法人向けへ、そして日本市場から世界市場へと戦略を転換したことで、特にアメリカで急速な成長を遂げている。
AI技術と専用端末を組み合わせた戦略は、教育、医療、物流、公共サービスなど幅広い分野でのニーズに応えている。特に、セキュリティやプライバシー保護の要求が厳しい法人市場において、ポケトークは独自のポジションを確立しつつある。
松田会長が掲げる「言葉の壁をなくす」というビジョンは、グローバル化が進む現代社会において重要性を増している。ポケトークの成長は、多言語コミュニケーションの需要の高まりを反映しているといえるだろう。
一方で、AI技術の急速な進歩や競合他社の動向など、市場環境はつねに変化している。ポケトークが今後も成長を続けられるかは、これらの変化に柔軟に対応し、顧客ニーズを的確に捉え続けられるかにかかっている。
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