AI翻訳「ポケトーク」アメリカ市場を席巻の原動力 専用端末、セキュリティ重視で公的機関に浸透

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松田会長は「彼らの弱みは逆にスマホが必要であること」と指摘する。スマートフォンアプリの翻訳サービスは個人利用では便利だが、ビジネスや公共サービスでの使用には制限がある。多くの企業や組織では、セキュリティリスクを考慮し、個人所有のスマートフォンを業務で使用することを制限している。

低価格で複数人で共有しやすいことは専用端末ならではのメリットだ(筆者撮影)

ポケトークは、これらの課題に対応するため、専用端末戦略を採用している。法人向けの高度なセキュリティ機能とMDM機能の実装により、ビジネスや公共サービス分野での需要に応えている。この戦略には複数の優位性がある。ハードウェアの開発・製造には多くの資本と技術が必要で、これが新規参入の障壁となっている。また、特定の用途に特化したニーズに対して、より適切なソリューションを提供できる点も大きな強みだ。

過当競争のアプリ市場を避け、高度なセキュリティ機能を備えた専用ハードウェア市場という、比較的競合の少ない領域で独自のポジションを確立していることが、ポケトークの現在の成功につながっているといえるだろう。

ポケトークの松田憲幸会長CEO(左)と、ソフトバンクの野崎大地常務執行役員(筆者撮影)

ハイブリッド戦略:専用端末からソフトウェアサービスまで

一方で、ポケトークのサービス群は、専用端末だけにとどまらない。ポケトークアプリ、ポケトークライブ通訳、ポケトークカンファレンス、ポケトーク for スクールといったサービス群を構え、さまざまなシーンでの音声翻訳に対応している。

ポケトークアプリは、スマートフォン向けのAI通訳アプリで、85言語に対応し、カメラ翻訳機能や発音練習機能も搭載している。2022年5月の日本国内での提供開始以降、急速にグローバル展開を進め、現在45の国と地域で利用されている。

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