工房職人の技「金子眼鏡」高級ブランド化への軌跡 低価格チェーン隆盛の中で"逸品"を訴求

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平均価格帯は前述のとおり7万円超だが、海外にも店舗を持ち、例えば中国・上海の販売価格は国内の2倍以上だという。なぜ、高くても売れるのか?

「商品の価値と価格をご理解いただいた結果だと思います。金子眼鏡は福井・鯖江に切削から仕上げまで行う3つのファクトリー(工場)を持ち、分業制が多い業界では数少ない、企画から生産・販売まで自社一貫で行っています。一連の取り組みが評価されて以降、人気が定着しました。そのブランド価値が中国・上海の店舗でも評価されています」(同)

金子眼鏡
高級メガネブランド「金子眼鏡」を育て、株式上場を果たした金子真也社長(撮影:佐々木仁)

発祥地の福井県鯖江市は国内のメガネフレームの9割以上を生産し、世界的に高い評価を受ける生産地だ。特に評価を高めたのはチタン製メガネの製造技術で、「チタンのメッキ処理、カラーフレームの処理が上手なので商品が長持ちする」(業界関係者)という。

JEHの2025年1月期の通期予想は売上高149億6000万円(前期比10.6%増)、営業利益は43億円(同16.2%増)を見込む。営業利益率は約29%と驚異の高収益だが、1958(昭和33)年の創業当初は今と様相がまったく違っていた。

当初は家族経営の卸問屋で同業95~96位

創業時は家族経営の眼鏡卸問屋。鯖江にあった100前後の同業者では後発で当時の売上高は95~96位程度。公式サイトで「はじまりは最後列から」と記すほどの存在だった。

創業者・金子鍾圭氏の息子である金子真也氏は1981年に東京の大学を卒業後、父との約束を守り、帰郷して家業に入社する。そんな同社の成長要因は先見性と時代性にあった。

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