中学受験を「しない」勇気が必要なときもある 大人が無自覚に強制する「不安な現実」の苦しさ

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中学受験と高校受験、どちらのタイミングの受験を選ぶかというのは、子どもの学校生活の中身や、勉強との向き合い方を選ぶことに直結します。

中高一貫校は一度入ってしまえば6年間入試がありませんから、その点は気楽です。人生で最も輝かしく、一方で心身の変化も大きく不安定になりやすいこの時期を自分のペースで過ごすことができるのは、子どもにとって大きなギフトでしょう。

中だるみする心配をされる方も多いのですが、むしろ中だるみこそが中高一貫校のギフトなんですから仕方がありません。自分の欲望を耕しながら少しずつ将来を見定めていく時期ですから、焦ってはいけないのです。

高校受験のいいところ

一方で、公立中に進学して高校入試を頑張ることにもメリットがあります。

まずは何といっても小学校時代を最後までのんびり過ごせることです。人間が本来的に自由な心で過ごせる時期は子ども時代だけです。子どもは「いま」を生きる存在であり、大人のように過去の出来事を思い出して意気消沈したり、将来のためにいまの自分を犠牲にしようという考えを持っていないからです。

ルソーは「真に自由な人間は、自分ができることしか望まず、自分が望むことを行う」(『エミール』)と述べましたが、子どもはまさにそういう存在であり、大人のように自分の能力を超えた欲望を持って、それによって苦しんだりすることはないのです。

小学校時代は理性よりも感受性を育むべき時期であり、そんな子ども時代を中断させて行動を規範化し、勉強を強制するのはよほどのことです。幼い子どもに勉強を課す大人は、そのことから目を逸らしてはいけません。

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