旅客機と渡り鳥「への字」編隊の"共通点" 知れば知るほど面白い「航空力学」
1年間では、ドラム缶(200リットル)にして1000本近くの燃料を節約できることになります。あるエアラインでは、東京~福岡便は1日あたり18便あるので、この路線だけでドラム缶約1万6000本の燃料を1年間に節減できる計算《(500リットル×18便×365日)÷200リットル》になります。
このように、飛行機の空気抵抗を減らす工夫以外でも、航法装置の発達で、燃料を大きく節約できることがわかります。
渡り鳥は、小さな力で長い距離を飛べる、最も省エネとなる高度と速度を選んで飛行していることも知られています。
飛行機も、鳥と同じように最も燃費がよくなる高度と速度が存在します。最も燃費が良くなる飛行高度を「最適高度」といい、燃費がいちばんよい速度で巡航する方式を「最大航続距離巡航(MRC:Maximum Range Cruise)」といいます。最適高度を最大航続距離巡航で巡航するのが、「最も燃費がよい方法」です。渡り鳥は、この巡航方式で長距離飛行を乗り切っているのでしょう。
空気の状態に合わせてきめ細かく飛行速度を設定
しかし渡り鳥とは異なり、飛行機の運航には燃料費以外にも、着陸料や停留料などの公租公課、整備費、機材費、保険費、人件費などの「タイムコスト」を考えなくてはなりません。このように、燃費以外のコストも考慮した「経済巡航(Economy Cruise)方式」が主流となっています。
運航にかかわるトータルコストは、
=(燃料費)+(タイムコスト)
=(燃料単価)×(燃料消費量+タイムコスト/燃料単価)
となります。ここで、
とすると、
=(燃料単価)×(燃料消費量+コストインデックス)
となります。
コストインデックスは、1便を飛ばすために必要なタイムコストと燃料単価の比ですが、タイムコストを考えない――つまりコストインデックスが0のときには、燃費だけを考えた速度、最大航続距離巡航(MRC)となります。燃料単価が高い場合にはコストインデックスを小さく設定、タイムコストを重視するにはコストインデックスを大きく設定すればよいことになります。
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