最近よく聞く「ジェンダーレス」って何だ? ファッション界はネコも杓子も夢中
デザイナーのキンバリー・ウェッソンは、いつも着ているパンツと前ボタンのシャツを脱いで花柄のワンピースを着ると、何かが違うように感じる。
「他人の服を着ているような気がする」と、ウェッソンはニューヨークのマンハッタンにある自分のスタジオで、冷えたロゼのワインを飲みながら言った。
そのウェッソンとビジネスパートナーのエイミー・チョーは、自分たちの信念をジェンダーレス(男女兼用)のファッションレーベル「1.61」に注ぎ込んだ。1年ほど前にできたこのファッションレーベルは、ゆったりとしたパンツやスワガーコート(肩からフレアーの入ったコート)、オーバーサイズのシャツなど、ウェッソンとチョーがいつも着ているようなアイテムで構成され、男性と女性の両方に向けて多様なサイズを展開している。
男女の境界線を消そうとするデザイナー
彼女たちのほかにも大勢のデザイナーが、性別による違いが少なく、男女の境界があいまいな最新のトレンドを取り入れている。こうしたファッションは、リック・オウエンスやグッチのアレッサンドロ・ミケーレら、トップクラスのデザイナーのこの春のショーで見られた。2人とも、以前は明確だった男女の服の境界線を消すのに夢中になっている。
「5年前は、こうしたファッションはまだ受け入れられなかった」と話すのは、ニューヨークのハワードストリートにある先端的なショップ「オープニング・セレモニー」の創設者、ウンベルト・レオンだ。同店は以前から、性別にこだわらないファッションを提案してきた。彼は「いまでは、このトレンドがファッションレーベルになっている。そして、一般の人たちに受け入れられるようになった」と言う。
百貨店のニーマンマーカスのファッション・ディレクター、ケン・ダウニングはもっと熱く語る。
「私たちがいま目にしているのは、ファッションの劇的な変化だ。境界線のないスタイル、若者の服の着方を反映したようなスタイルが、幅広く受け入れられるようになっている」。