デジタルメディアは発達障害の原因になるのか 「デジタルがいい悪い」議論より重要なことは?

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調査結果はスマートフォンの使用(という環境要因の1つ)が子どもたちの学習や認知発達に与える影響を検証したのであって、調査を実施した先生もスマートフォンの使用が学習や認知に影響を及ぼすことを示唆しているものの、「直接的に発達障害を引き起こす」とは述べていません。こういったデータが曲解されて独り歩きした結果、デジタルメディアを悪と考える風潮が広まっているのではないでしょうか。

デジタルメディアは子どものことばを壊すの?

デジタルメディアが悪とされがちなのは、子ども(や親)がそれにハマることで、コミュニケーションの時間を奪われたり、あるいはネットで触れた「悪いことば」を子どもが覚えてしまったり、本を読むなどの語彙を増やす活動が減ったり……といった不安が背景にあるのではないでしょうか。

端的に言うなら、「デジタルメディアがことばやコミュニケーションを壊す」という不安でしょう。

この不安は、半分合っていて、半分は合っていません。結局、デジタルメディアそのものが悪いのではなくて、課題になるのは子どもと保護者がそれにどのように関わるか、つまり関わり方に尽きると思います。

コロナ禍では、おうち時間が増え、以降デジタルメディアに触れる機会は圧倒的に多くなりました。現在、徐々にメディア別の発達に与える影響に関するメタ分析(多くの研究をまとめて客観的に効果を検証したもの)の結果が出つつあります。

詳細は省きますが、一番大事なのは見るもの以上にそこにやりとりがあるか、です。絵本でもそうです。一緒に見ている他者(大人)とのやりとりが重要になります。当然、能動的に見続けて他者とインタラクションをとる「仕掛け」がないコンテンツはあまりいい結果が得られていません。つまりデジタルがいい悪いではなく、そこに一緒に楽しめる仕掛けがあるかどうかが大事なわけです。

余談になりますが、その昔、私が病院勤務でリハビリを担当していたときに、とあるトレーニングのドリルがはやり、おじいちゃんおばあちゃんがこぞって「先生! これをやったらボケなくてすむんかいの?」と持ってきたことがありました。私は、「やり方かな! できたらひとりでしないでお孫さんと一緒にやろうか? で、いろいろ聞きながらやるんよ。そのやりとりが大事」と返していましたね。

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