デジタルメディアは発達障害の原因になるのか 「デジタルがいい悪い」議論より重要なことは?

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たしかに発達障害特性のある子どものメディアスクリーンの視聴時間(テレビだけでなくスマホやパソコンなどの視聴時間をすべて合わせたもの)は、典型発達の子どもに比べて長い傾向にありますが、それがASDをはじめ発達障害を引き起こしたというエビデンスは現時点でありません。

「とりあえず禁止する」ことによって出てくる弊害

教育や子育ての世界において、いつの時代も新しいものは「悪」とされます。漫画しかりテレビしかりアニメしかりゲームしかりスマホしかり……。

端的に申し上げると、「上手な付き合い方」を学習すればいいだけです。とりあえず禁止する、といったやり方だと子どもはそこで新しいルールを学習することもできませんし、同年代の子どもたちとのコミュニケーションのネタがどんどん枯渇していきます。

おそらく親とのコミュニケーションも希薄になっていくでしょう。自分の趣味や興味を頭ごなしに否定する大人と子どもたちが話をしたいと思いますか?

つまり、大人が新しいものを受け入れないことによって出てくる弊害の方がおそらく大きいと思います。もちろんこれは、戦略もなく好きなことを好きなだけやらせること(いわゆる野放し)を推奨しているわけではありません。

ゲームについては、ADHD(注意欠如・多動性障害)の子どもがハマりやすく抜けにくいという特徴はあるかもしれません。ただしこれはゲームに限った話ではありません。ADHDの特性として、手を伸ばしやすいご褒美(的なもの)にハマりやすくて抜けにくい、という報告はあっても、ゲーム自体が障害を引き起こす(発達障害特性のもととなる)という話ではありません。

勉強でも、ゲームでも、頭が疲れます。ゲームをしたあと、ほかの活動に注意を持続することが難しい様子を周りの大人が見てゲームが悪さをしていると判断している可能性はあります。しかし、「ゲームが発達障害の原因」というのは因果関係がおかしい言い方です。

とある教育委員会の研究は、「スマートフォンの長時間使用が子どもたちの学力に悪影響を及ぼす可能性」を示唆しました。簡単に内容を要約すると、スマートフォンを一日3時間以上使用する子どもたちは(そうでない子と)同じ勉強時間であっても成績が低下する傾向にある、とのことです。

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