村上ファンド「復帰初戦敗北」で次の一手は? 黒田電気経営陣との戦いは長期戦に

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だが、ふたを開けてみれば、外国人投資家の大多数は黒田電気側に票を入れたようだ。黒田電気の持丸守経営企画室長は「外国人株主はほとんどが長期投資を目的。シュローダーも5年以上前からウチの株を保有している。これまで少なくとも1年に1回はお会いして事業の説明をしてきた。今回もわれわれの方針に理解を示してくれたのだろう」と説明する。

両者とも長期戦の構え

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C&Iホールディングスが入居する東京都内のビル

気になるのは、両陣営の今後の動きだ。黒田電気側は「われわれの主張が多くの株主に受け入れられた結果。従来の経営方針は変わらない。変えていきたいのは株主との対話。特に機関投資家へのIR活動を重視していきたい」(村橋執行役員)と言う。

対する村上氏側は、C&Iホールディングスの公開文書で「株主として引き続き黒田電気のガバナンスを行い、黒田電気の株主価値向上に取り組んで参る所存です」とコメントしたのみ。

外部から調達した資金を運用していた村上ファンドの時と違い、今回の投資資金はほぼすべて村上氏の自己資金で賄っている。出資者から短期的な利益が求められることはないため、長期戦も可能だ。

今後の村上氏側との関係性について、黒田電気側は「今回は方針が合わなかったから反対の方針を取ったが、決して“村上さんだからダメ”というわけではない。今後もほかの株主とわけ隔てなく接していくし、また新しい提案があれば是々非々で考える」(村橋執行役員)としている。こちらも長期戦は覚悟しているようだ。

2015年3月末時点で、黒田電気株の約45%は16人の所有者が保有する。今後村上氏側がじっくりと切り崩しにかかれば、一度は勝利した黒田電気も足元をすくわれかねない。黒田電気と村上氏との関係はこれで終わりなのか、むしろこれから始まるのか。村上氏の次の一手が注目される。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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