ドル円レートの「正しい理論値」など存在しない だからこそ意図的に歪みを加えてはいけない

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その結果、為替はオーバーシュート(行きすぎること)も起こりやすくなるし、かつ一度同じ方向に動き出すとそのモメンタム(一方向への流れ)が止まらず、オーバーシュートの乱高下をしながら、かなりの期間、同じ方向に動き続ける。

いったん円安の流れになったらしばらく止まらないし、転換点が来たら、今度は円高方向しかありえない。しかし、皆がそう思っているから、一気に円高が進んでも、進みすぎかどうかは判断できないから、その流れに乗るが、しかし、強い投機家は、オーバーシュートを意図的に作りながら儲けることができる。

このように、強い投機家によって、為替相場は短期的には作られることが多いが、長期的な動きは、一部の投機家の意図では支配しきれない。大きな投機家集団、世の中全体の「群衆的な」動きによって決まってくる。それは誰にも予想はできないし、支配もできない。しかし、その流れで決まってくるのが現実だ。

その結果が、今の1ドル=145円前後なのである。今145円で125円でないのは、あるポイントからオーバーシュートとモメンタムを繰り返した結果なのである。

そして、そのあるポイントとは、1ドル=360円と1949年に決められたポイントなのである。そして、それが1971年末まで続けられたからであり、1973年まで1ドル=308円にしたからであり、1973年に308円スタートで変動相場制に移行したからである。

円安すぎる水準に長く固定されすぎていたから、その後は、一貫した円高モメンタムが続いたのであり、その流れがあったから、過度な円高というオーバーシュートが何度も繰り返されたのである。

そして、そのオーバーシュートが行きすぎたことから、円安の流れにどこかで転換せざるをえなかったのであるが、異次元緩和がきっかけとなって、今度は円安オーバーシュートが起きてしまったのである。したがって、すべては、1ドル=360円と決めたから、その後の水準の推移があったのであり、ゲームの始まりにおいて、たまたま決められた水準が今の水準に影響を残し続けているのである。

したがって、為替は本質的に、変動を続け、経済に歪みを与え続けるのであり、そういうものであるからこそ、異次元緩和のような、為替に意図的に強力な歪みをもたらすことは、もっともやってはいけないことであり、経済をもっとも大きく歪ませることになるのである。

ただ、異次元緩和を行ってしまった事実は動かせないし、今1ドル=160円まで行ってしまってから、今145円前後になっているということも動かせないので、この罪を償うことはほぼ不可能に近いのであり、その不可能を現在の日銀に世間が要求したために、為替市場が荒れることになったのである(本編はここで終了です。この後は筆者が週末のレースなどを予想するコーナーです。あらかじめご了承下さい)

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