ドル円レートの「正しい理論値」など存在しない だからこそ意図的に歪みを加えてはいけない

✎ 1〜 ✎ 231 ✎ 232 ✎ 233 ✎ 234
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

じゃあ、今が1ドル=145円前後で、2023年1月が130円前後だったのを説明する要素はまったく何もないのか?行動ファイナンスのいう、投機家の意向と行動で決まるということなのか?

それも違う。行動ファイナンスですら役に立たない。投機家の期待、1ドル=145円という期待の自己実現という、何でも説明できてしまう自己実現の論理ですら成り立たないのだ。

「購買力平価理論」は「物価の絶対水準」の話

結論を言っておこう。今、1ドルが145円なのは、1949年4月23日にGHQが1ドル=360円と決めたからなのだ。

なぜそう言えるのか。説明しよう。

その前に、まず、経済学における為替の理論をおおざっぱに概観しておこう。まずは古典的な、購買力平価である。

これは「世界中で一物一価が成り立つような水準に為替レートが決まる」という考え方で、要はビックマックレートとかスターバックスラテレートなどと同じ考え方である。

日本でだけあるブランドもののバックが安いと、世界中から日本にそれを買いに来る観光客が溢れたり、バイヤーが転売したりするので、そのモノの価格が世界中で一物一価に収斂していくが、それをマクロ経済全体で行うのは、為替レートが動くほうが早いので、為替が調整される、という考え方である。

逆に言えば、世界中で一物一価が成り立っているときに、為替がずれてしまうと、大混乱が生じるから、為替がぶれたときに、瞬時にもとに戻るほうが早いから、為替レートが調整するということである。

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事