マウスで成功したアルツハイマー根治--『老いを遅らせる薬』を書いた石浦章一氏(東京大学大学院教授、分子生物学者)に聞く

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ただし、もともとぼけやすい人は、動脈硬化になりやすい人と同様にいる。その体質は遺伝で決まっている。今やゲノムがわかってきて、遺伝の寄与が意外に大きいことがわかってきた。特にぼけに関しては遺伝子が大きな役割を果たしている。だから、日本でも遺伝子診断の是非の議論を早急に詰めていくべきだ。

──薬に頼る部分も大きい……。

病気を問わず、薬の飲み方は大事だ。薬は飲むと8~9割が肝臓を通過する。注射した薬でも同じだ。絶対に飲みすぎてはいけないが、効かないレベルの量を飲んでも仕方がない。ちょうど効く量にしないと。そして朝昼晩と指示されたら順守する。1回抜くだけでガクッと効果が下がる。主要な外国では子どもたちに薬学教育をしている。日本でも「薬育」は必修の必要があるのではないか。

いしうら・しょういち
1950年石川県生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業、同大学院理学系研究科博士課程修了。国立精神・神経センター神経研究所、同大学分子細胞生物学研究所を経て、同大学院総合文化研究科教授。専門は神経生化学、分子認知科学。人間の知能や性格、感情の分子レベルの解明を目指す。

(聞き手:塚田紀史 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2011年11月12日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。


『老いを遅らせる薬』 PHP新書 756円 206ページ


  
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