マウスで成功したアルツハイマー根治--『老いを遅らせる薬』を書いた石浦章一氏(東京大学大学院教授、分子生物学者)に聞く

マウスで成功したアルツハイマー根治--『老いを遅らせる薬』を書いた石浦章一氏(東京大学大学院教授、分子生物学者)に聞く

「いずれ1軒に一人や二人のぼけ老人は当たり前に」──。ぼけず、元気で若々しく生きることはできないか。ぼけの治療薬の仕組みと最新事情は。

──アルツハイマー病のワクチン開発が佳境に入っています。

マウス実験には成功した。アルツハイマー病の脳にはベータアミロイドと呼ばれるタンパク質がたまってできた老人斑が見られる。その老人斑を消す。これで病根を絶つことができる。

──「食べるワクチン」だそうですね。

コメに作らせたのが特徴だ。コメを遺伝子改変してベータアミロイドを作らせた。これを食べるとベータアミロイドを攻撃する抗体ができて、それが老人斑を溶かしてしまう。

普通の場合、薬を飲むと胃で消化される。遺伝子改変した植物は胃で消化されない。腸まで行って、そこで免疫作用が働き抗体ができる。そのように胃をすり抜けるためには植物に作らせないといけない。将来、この抗体がヒトにもワクチンとしてうまく働いてくれるのではないか。

──アルツハイマー病薬は今年、新たに3品が薬価収載されました。

今まではいわば、日本にはアリセプトしかなかった。知能を活性化させる脳内のアセチルコリンが減らないようにするものだ。それと同じような効能の新薬がガランタミンとリバスチダミン。後者は貼付用なのが特徴だ。もう一つのメマルチンはこれらと違うメカニズムで効く。脳の神経細胞は、グルタミン酸が過剰に放出されると死んでしまう。メマルチンはそれを抑制する。

ただし、これら3品とも病根の老人斑を絶つものではない。

──アルツハイマー病を根治する方法はまだない?

脳内の老人斑はヒトが元気なときからたまってくる。それが増えてくると脳神経が減ってぼける。脳のベータアミロイドがアルツハイマー病の病因とわかったのは25年ほど前。それが“真犯人”だとわかって治療が進んだ。

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