世界の潮流「修復腎移植」を阻む移植学会の闇 裏には「透析医療の利権問題」も

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さらに見えてくるのは透析医療の利権問題です。透析は取りっぱぐれがない。患者は十何年、週3回通い続け、1人当たり年間500万円の医療費は国庫負担。合併症治療も含めれば透析医療は2兆円市場といわれます。透析患者を多く抱えることが病院の利益に直結するため、患者の紹介や引き抜きをめぐる贈収賄事件が頻発するのです。

透析病院では移植の話をタブーとする雰囲気が作られ、移植は怖いものと患者は信じ込まされている。患者は目隠しをされ、「透析がつらいと言うのはあなただけ。ほかの人はそんなこと言ってない」と恫喝され、「移植のことは考えるな」と切り捨てられる。だから取材してると、移植のことを知らない透析患者さんがけっこういますよ。

それに本の中で証拠を挙げて指摘したように、移植学会トップは製薬会社や透析病院から資金を得て大学で寄付講座を開設しています。中でも大金を寄付している製薬会社は薬事法違反の疑いで刑事告発され、最近では副作用報告義務違反で業務停止処分を受けている。そうした問題の多い会社から寄付を得、平然とトップの座に座り続けている事実にモラルの欠如を疑ってしまいます。

修復腎移植は透析患者を救える

──腎不全患者7人が、自分たちの幸福追求権を奪われた、と移植学会幹部を提訴しましたね。

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昨年棄却判決が出て現在控訴中です。裁判の過程では、被告の幹部たちの修復腎移植批判がいかに時代遅れで的外れであるかが明らかになっています。それ以上に酷なのが、この間に原告7人のうち透析患者だった4人が亡くなっていることです。

透析生活は肉体的にも精神的にもたいへん過酷なものです。31万人の透析患者のうち腎移植希望登録者数は1万3000人。待機時間は平均16年ですが、その間透析を続けながら、5年で40%、10年で60%が移植を待ちきれず亡くなっていくんです。

ある大学教授の試算によれば、移植可能な修復腎は年間2000個出てきます。修復腎移植が認められれば、6年ほどの待機で移植を受けられることになります。死体腎移植は年間百数十例と全然足りない。親族間の移植でも、現実問題として直面するとたいへんな葛藤が生じます。遺伝的に無理な場合もある。そのとき第3の道として残されているのは修復腎しかないじゃないですか。

移植後、万が一がんが再発したとしても、その間高いQOLで生きられるなら、ましてそれが1%程度の低リスクであるなら、修復腎でいいから移植をという選択権は患者側にあっていいはずです。修復腎移植は患者を救えます。こうしている間に救える命が失われていく。一刻も早く認められることを願っています。

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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