がんの究極薬が開く、新しい治療法の可能性 新薬「オプジーボ」はいかに生まれたのか

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週刊東洋経済7月18日号は、全42ページにわたり「クスリ最前線 大型新薬の嘘と本当」という特集を組んだ。その4ページを割いて取り上げたのが、大型新薬の登場で大きな注目を浴びているがん免疫療法だ。
その扉を開いたのは、小野薬品工業が米ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)と開発した新薬「オプジーボ」(2014年9月、根治切除不能な悪性黒色腫対象で国内発売)。がん細胞がかけている免疫のブレーキを解除し、免疫力を高めてがんを攻撃するという画期的なメカニズムで、幅広いがん種に有効。末期がんの患者においても、年単位で生存する患者が現れている。がん免疫療法の実力について、小野薬品の相良暁社長に聞いた。
相良 暁(さがら・ぎょう)●小野薬品工業社長。1958年大阪府生まれ。83年大阪市立大学商学部卒業、小野薬品工業に入社。営業本部長、経営統轄本部長を経て2008年から現職。

免疫療法は、がんの「第4の治療法」

――がん免疫療法は、がん治療をどのように変えますか。

免疫療法は、手術、化学療法、放射線治療に次ぐ「第4の治療法」といわれています。手術と放射線療法は、早期にがんを発見できた患者に対する局所の治療。がんの発見が遅れてしまい、転移があって手術ができないような患者には、これまで化学療法による全身治療を行ってきました。

免疫療法は早期治療ではなく、化学療法のような全身治療の一つとして加わりました。今後、がん免疫薬で全身治療による生存率を大幅に上げることができれば、評価が高まって、免疫療法が全身治療で第一選択の治療法になるでしょう。将来的には、早期の局所治療の領域にも入り込みたいと思い描いています。

――がん免疫薬「オプジーボ」の開発経緯を教えてください。

週刊東洋経済7月18日号(13日発売)の特集は『クスリ最前線~大型新薬の嘘と本当』です。超高齢化、グローバル化で激変するクスリの世界を全42ページで徹底分析。上の画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

根っこにさかのぼると、小野薬品は50年くらい前に「プロスタグランジン」という脂質の化合物に関する創薬を行っていました。後のノーベル賞受賞者4人を含む、世界最高レベルの医師などの下へ出向いて、持ち帰った材料をベースに創薬を進めました。今でいうオープンイノベーション(企業の枠を超えた革新)を行っていたのです。

そのときに、プロスタグランジンという化合物に取り組むことを推してくれ、海外の先生方に道をつけてくれたのが、京都大学の早石修教授(当時)でした。

早石先生の門下生だったというつながりから、私たちは京都大学の本庶佑教授(当時)とも長年共同研究を行っていました。その過程で、本庶先生が1992年に「オプジーボ」がターゲットとするタンパク質「PD-1」を発見し、縁あって小野薬品がその創薬に携わることになったワケです。

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