1回投与で73万円!大型新薬のウソと本当 患者は何に注意すべきか

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「日本でもこんなに高い薬価がつくのか」ーー。米ギリアド・サイエンシズが5月に国内で発売したC型肝炎薬「ソホスブビル(製品名ソバルディ)」。96%以上という驚異的な治癒率もさることながら、衆目を集めるのは高薬価。日本でも12週間の治療で546万円(併用薬含む)の薬価がついた。

「ソバルディ」(左)と「オプジーボ」

2014年9月に小野薬品工業が国内で上市した、がんで初の抗体医薬品「ニボルマブ(製品名オプジーボ)」は1回の投与で約73万円。がん治療のあり方を変える可能性もある新薬だが、こちらも「これまでの常識からは考えられない薬価」(業界関係者)だ。

効き目も高いが薬価も高い。今そんな新薬が次々と登場している。日本医療政策機構の宮田俊男エグゼクティブディレクターは「日本の薬価は安いという常識が変わり始めた。この動きを見て、外資系企業が再度、日本市場を重視し始めている」と指摘する。

年収770万円以上は負担増

がん、C型肝炎、糖尿病など、これまで治療が難しいといわれてきた分野で注目の新薬が生まれている。こうした新薬は開発費が膨大で薬価も高い。さらに最近は解析技術の進歩で疾患の原因になる遺伝子や分子が特定され、その疾患特有の薬の開発も進んでいる。

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たとえば肺がんでは、患者全体の1~2%に該当する希少がんに関する薬の開発も進む。ただこうした分野は患者数が決して多いわけではない。このような医療の個別化が進めば進むほど、医薬品メーカーにとって開発負担が重くなり、薬の価格が高くなる傾向にある。

患者にとって効き目の高い薬の開発は朗報だが、やはり気になるのが医療費だ。高い薬剤を使う場合に、患者はどんなことに注意すればいいのか。

まず頼りになるのが「高額療養費制度」だ。同制度はひと月にかかった医療費の自己負担分が一定額を超えた場合、その超えた金額を払い戻す制度。自己負担限度額は年齢や年収によって異なる。高額になることが前もって予想される場合は、加入している健康保険組合から「限度額適用認定証」を入手しておけば、窓口負担を自己限度額に抑えることができる。

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