世界の潮流「修復腎移植」を阻む移植学会の闇

裏には「透析医療の利権問題」も

2007年には、全米移植外科学会総会で修復腎移植の成果を発表する予定でしたが、それも移植学会に妨害されました。とにかく万波憎しで、万波さんの医師免許剥奪や病院の保健医療認定取り消しに躍起でした。もしそうなっていたら、あの地域の医療は完全に崩壊していましたよ。

世界の潮流と逆行する日本

──実際海外では、修復腎移植はどう評価されているのですか?

高橋幸春(たかはし ゆきはる)/1950年生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、ブラジルへ移住。邦字紙に勤務、1978年帰国。1991年に『蒼氓の大地』で講談社ノンフィクション賞受賞。『悔恨の島ミンダナオ』『絶望の移民史』『日系人の歴史を知ろう』『透析患者を救う!修復腎移植』、麻野涼のペンネームで小説『死の臓器』等、著書多数。

腎臓がん患者からの腎臓移植に対する考え方は、2000年ごろ大きく変わりました。遺伝子検査法や移植免疫学の進歩等によって、「ドナーからがんが持ち込まれる」という旧来の学説は崩壊し、修復腎が正常に機能することが明らかになってきた。

臓器不足は世界的にも明らかで、マージナル(境界線)の臓器を用いて移植を進めようという動きは加速しています。2011年にはWHOが、一定条件下では修復腎移植は低リスクである、と通達を出しています。

こうした世界の潮流と逆行し、日本は2007年に病腎移植を原則禁止とした。その2年後、万波医師の患者らによる「移植への理解を求める会」や国会議員の「超党派の会」が立ち上がり、小径腎がんの修復腎移植は「臨床研究」という形でようやく認められました。

でもそれはあくまで宇和島徳洲会病院の臨床研究であって、実用段階に入った欧米とは大きく乖離したままです。通常移植には400万~600万円かかりますが、それを全額病院側が負担するのです。2011年には病院が先進医療保険適用の承認申請をしたんですが、このときも学会側の横やりで認可されませんでした。

──なぜ移植学会は、そこまでかたくなに強硬姿勢を貫くのか?

学会の「禁止」というお触れを、瀬戸内の田舎医者が平然と破っている。しかも世界の移植医師の論文に万波さんの論文が引用されるなど注目され、修復腎移植は実用段階に入っている。嫉妬もあるだろうし、権威失墜を恐れているのでしょうね。

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