調剤薬局が「儲かりすぎ」と批判される理由 医薬分業の"費用対効果"はどこにあるのか
薬局でお薬手帳を断ると、20円支払いが安くなる――。こんな話を聞いたことはないだろうか。
カラクリはこうだ。薬剤師の調剤に対して支払われる調剤報酬のうち、薬歴の確認などに対しては「薬学管理料」という項目がある。現行制度では、お薬手帳の記載を含めたすべての指導を行えば、ここで41点がもらえるが、患者がお薬手帳を持参しなかったり配布を拒否したりして、お薬手帳への記載ができなかった場合は34点に減額される。
報酬は1点=10円として計算されるので、お薬手帳を含めた指導をすれば410円が薬局に入る。お薬手帳なしの場合は340円。その差額70円のうち、自己負担分が3割ならば、患者の支払いは20円安くなるというわけだ。
20円おトクになるなら、お薬手帳を断ったほうがいいのだろうか。医薬情報研究所エス・アイ・シーの堀美智子取締役は「とても低次元の議論」と一蹴する。「何をもって“おトク”といえるのか。20円を節約したばかりに薬剤師の指導が不十分になり、副作用などに苦しむかもしれない」(堀氏)。
薬剤師の指導にメリットを見いだせない利用者
とはいえ利用者は、薬剤師の指導に対するメリットを実感しにくいのかもしれない。「とにかく薬を早くもらって帰りたい」「医者に病状を説明したのだから、薬局でもう一度同じことを説明するのは面倒だ」という利用者は少なくない。こうした利用者にとっては、薬剤師の指導に対して20円の対価を支払う意義を見出せていないのだろう。
薬局には上述の薬学管理料や薬剤費(薬の代金)以外に、調剤基本料というものも付けられている。調剤基本料は原則41点だが、特定の医療機関の比率が高いなどの場合には25点に減算されることもある。
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