「お祈りメール送るのツラい」採用担当の心の叫び AIや大谷選手も絡める「25年採用川柳」の中身

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まずは【最優秀賞】から紹介する。

ITの 広い世界に 羽ばたきたい 志望動機は 在宅勤務(神奈川県 賽の河原の採用担当さん)

応募者からの「広い世界に羽ばたきたい」という言葉の一方で、「在宅勤務ができること」が志望動機だとも言われてしまったら、活動的な飛躍タイプなのか、インドアタイプなのか、いったいどちらなのかと困惑してしまうだろう。

働く場所や時間などの働き方の多様性は十分に理解し歓迎しているつもりでも、志望動機として「在宅勤務」というのは果たしてどうなのか。志望動機は「挑戦」や「意欲」であるべきだという前時代的な価値観にとらわれていると自認する作者。

「在宅勤務」をどうしても消極性の表れだとしか受け取れないもどかしさがうかがえる。新しい働き方を受け入れる柔軟性が求められている昨今の採用市場を反映した、秀逸な作品だと言える。

次は【優秀賞】だ。本来は2作品を予定していたが、甲乙つけがたく、今回は3作品を選出した。

耳につく 志望動機は みな同じ AI聞いても また同じ(熊本県 ひろしですさん)

「ChatGPT」などの生成AIは、就職活動の場面にも登場してくるようになった。自ら「ChatGPT」サイトでプロンプト(生成AIに送る指示文や命令のこと)を入力しなくても、希望や経験などの項目について選択肢を指定するだけで志望動機や自己PRを自動生成してくれるサービスも登場している。

その結果、学生が提出するエントリーシートや面接の質疑応答では、AIが作成したと思われる模範解答がずらりと並ぶことになる。

自分の転職を考える採用担当者

同じような文章をただひたすら読んだり、聞いたりしなくてはならない採用担当者のやるせなさがうかがえる作品である。「志望動機」を模範回答に頼る学生たちを象徴し、個性や真の意欲を見極める難しさをうまく表現している。

まだ採れぬ ハードル下げて また下げて いっそ自身の 転職よぎり(東京都 総務部長さん)

学生の「売り手市場」が続く中で、自社の選考基準に沿う学生の採用に大苦戦し、合格のハードルを徐々に下げ続けるも一向に成果が出ない様子が描かれている。

揚げ句の果てには、いまの会社で採用担当者として苦労を続けるよりは、いっそのこと、自分自身が別の会社に転職してしまったほうが幸せなのではないかとさえ考えてしまう作者の心情を詠んだ一首である。

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