こちらもMLB大谷翔平選手を引き合いに出して、ユーモラスに表現した作品となっている。
近年は、学生が自ら企業探しやエントリー、説明会申し込みなどの就職活動をするのではなく、転職と同様に応募や面接日程調整を新卒紹介エージェントに任せる学生が増える傾向にある。
エージェントに任せる風潮に対し、今年3月に起きた大谷選手の通訳騒動を引き合いに疑問を投げかけた一首である。就職の重要な場面でのエージェント任せに対する不安をユーモラスに表現している。
就職活動でエージェントを活用した学生は、就職した会社でいざ退職したいとなったら、今度は今年4月に話題となった退職エージェントを活用するんだろうなと思わずにはいられない。会社(人事担当者)と個人(学生・社員)が紡ぎだす信頼関係の重要性を改めて考えさせる作品である。
「オオタニさ~ん」は、大谷選手が昨年まで所属していたエンゼルス時代に、アメリカのFOXスポーツウエストのエンゼルス担当実況者であったビクター・ロハス氏が、大谷選手がホームランを打ったときに叫ぶおなじみのフレーズをもじったものと思われる。
AIは万能ではない?
こちらも【優秀賞】を受賞した作者が別の作品で【佳作】にも入選した。
AIを搭載した適性検査で、自社の組織風土とのマッチ度(相性)が最適と判定された候補者に辞退されるという皮肉を描いた作品。AI判定を信じた結果の失望感と、それに対する恨み節がユーモラスに表現されている。
近年、学力検査や従来からの適性検査とは異なる検査を導入する企業が増えている。
既存の社員にも応募者と同一の適性検査を受けてもらい、組織全体や受け入れ部署のカルチャーや組織風土を可視化し、応募者の検査結果とのマッチ度をAIで診断するというものだ。応募者個人のキャリア志向や価値観、パーソナリティーなどを総合的に分析し、組織側の診断結果と照らし合わせてマッチ度を算出するという。
AIの万能性に対する疑念と、人間の予測不能な一面が感じられる一句である。AIには相性だけでなく、ぜひ辞退確率も機械学習してもらいたいところだ。
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