とうとう、会社をさらに成長させたいのであれば、もう1つのリーダー層を設けるなど、新しいシステムを導入する必要があると考えるようになった。彼女のメンタライジング能力はやはり限界に達していたのだ。
このようなメンタライジングの問題は、必然的に大規模で複雑なグループにおいて顕著になる。チームのメンバーとの関係を処理する能力は、当然あなたのメンタライジング能力に依存する。
メンタライジング能力が発達していればいるほど、大勢の人と仕事上の関係を維持することができる。しかし、グループ内の他のメンバーのメンタライジング能力も考慮しなくてはならない。
多くの場合、女性はこの側面において男性より優れている。反面、男女いずれかの性別のみで見ると、ナルシシストはとりわけこの能力が低い。また、数学の才のある人は、そうでない人に比べて総じてこの能力が低い。
人によってメンタライジング能力が異なると、どうしても問題が起きる。だから、つい同じような傾向の人を同じグループにしたいと考える。そのほうがメンバーどうしの相性がいいだろうし、相互の意図や考えを自然に理解しやすいはずだからだ。
この考えは間違いなく有益に思われる。ところが、そこには生産性を下げる安易な集団思考をしがちな環境をつくってしまうリスクが潜む。
文化の違いもメンタライジングにとって問題となる。相手が顔に笑みを浮かべているからと言って、その人があなたの発言に満足しているとは限らないのだ。
また、あなたがどれほどそれを望んでいようとも、あなたの話にうなずいている人がかならずあなたに賛同しているわけでもない。
リーダーや経営者には必須の能力
相手の話がニュアンスに富み解釈を必要とするような場合には、効果的なメンタライジングが不可欠だ。昨今のグローバルな環境では、ビジネスがより複雑化し、多様な利害関係者(ステークホルダー)と互いに競合するコンセプトに対処しなくてはならない。
そんな環境では、リーダーのメンタライジング能力が大きくものを言う。測定や評価の対象にあまりならないメンタライジングだが、組織の未来を背負ったリーダーや経営者には必須の能力であると言えよう。
(翻訳:鍛原多惠子)
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