ただこの議論は、そもそも奇妙だ。二酸化炭素の排出量削減に優れた企業がひっぱりだこになるのであれば、誰もが積極的に二酸化炭素の排出量削減に取り組む。該当コストの負担を押し付け合っている状況は、そもそも企業人が二酸化炭素の排出を減らしても意味がない、といっているように思える。
環境が重要だと人々はいっているものの、Z世代はファストファッションで何枚もの衣類を購入する。企業人も、企業活動を担うときにはSDGsと叫んでいるが、生活者に戻るとSDGsにかかわらず安価な商品を買う。人間とはそういうものだ、といってしまえばそれまでだが、なにかひっかかる。
ECサイトTemuの大躍進
現在、ECサイトのTemuが話題になっている。動画やテレビCMでも、このところ見た人は多いだろう。先日はスーパーボウルのCMがニュースになった。Temu自体は、どのように表現していいかわからない。衣類や雑貨を中心とした激安ECといっておけばいいだろうか。このところ急速に知名度をあげている。
該当のサイトを見ると、つねにセール、90%オフ、コスパ最強、数量限定クリアランス……といった言葉が並ぶ。そのほとんどが価格しか訴求性をもっていないと告白しているようで、実に清々しい。同アプリのキャッチフレーズ「億万長者気分でお買い物」はきわめて言い得て妙だ。90%オフといった表現を見るたびに、「そもそもその金額だったんじゃないのか。景品表示法的に大丈夫なのかよ」と私は笑ってしまったほどだ。
Temuのビジネスモデルは明確だ。中国中にはりめぐらされたサプライチェーンを有し、調達から製造・出荷までを一貫して管理する。これによりコストを引き下げる。同社自体は在庫をもたずにリスクを軽減している。同社はアプリを開発し、売れる商品を探し、企画し、マーケティングを工夫し顧客数を最大化する。
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