絶滅危惧「ツシマヤマネコ」人のせいで犠牲の悲劇 ロードキルは単なる「不幸な交通事故」ではない

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道路上で起きる野生動物の死亡事故を「ロードキル(road kill)」といいます。主には車両による轢死や衝突死を指しますが、道路脇の側溝に落ちて転落死や溺死することや、乾燥による乾涸死(かんこし)も含みます。

車に轢かれたのか?道端で倒れているツシマヤマネコ(写真:環境省対馬野生生物保護センター提供)

希少動物を絶滅に向かわせる要因に

希少な動物にとっては、ロードキルが種を絶滅に向かわせる決定打になることがあります。例えば、ぼくが環境省の協力を得て2018年から遺体の死因調査を続けているツシマヤマネコがそうです。

日本には、長崎県対馬と沖縄県西表島に、それぞれツシマヤマネコとイリオモテヤマネコという野生のヤマネコが分布しています。

どちらもユーラシア大陸に分布するベンガルヤマネコの亜種(同一種でありながら、地域によって何らかの差がみられる種のこと)です。

ヤマネコやトラ、ヒョウなど多くの野生のネコ科動物には、耳の後ろに「虎耳状斑(こじじょうはん)」という白い斑点模様があります。イエネコには虎耳状斑がありませんので、これが野生のネコとイエネコを見分ける1つの指標となります。また、ヤマネコは体型がイエネコと比べて胴長短足で、長く太い尻尾を持ちます。

額には白と黒のはっきりとした縦じま模様(写真:環境省対馬野生生物保護センター提供)
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