不透明なカネの流れ、必ず日本に戻って真相を究明する--オリンパス前社長 マイケル・ウッドフォード氏インタビュー

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不透明なカネの流れ、必ず日本に戻って真相を究明する--オリンパス前社長 マイケル・ウッドフォード氏インタビュー

今月14日、精密機器メーカーのオリンパスは英国人のマイケル・ウッドフォード社長を解任すると発表した。4月に末席の役員から25人抜きで大抜擢され、社長に就任してからわずか半年での電撃解任となる。

同日の会見で、菊川剛会長は「独断専横的で、日本の企業風土を理解していなかった」と解任の理由を説明した。

だが、今回の唐突な解任には伏線がある。ウッドフォード前社長は9月下旬以降、08年に行われた複数の買収案件について、不適切と思われる点が存在すると、菊川会長および森久志副社長に書簡で通知。説明を求めていた。

同氏が問題視している点は主に2つ。1つは英医療機器メーカーのジャイラス社を約2150億円で買収したことに関連し、財務アドバイザーを務めた2社に、買収金額の36%に相当する、総額600億円超もの高額な支払いを行っていたというもの。

もう1つは同じく08年に、廃棄物リサイクルのアルティス、サプリメント製造のヒューマラボなどのベンチャー企業3社の買収に合計734億円を投じていたものだ。

■経営混乱でオリンパスの株価は暴落

菊川会長ら幹部からは納得できる説明がなされなかったため、ウッドフォード前社長は英国の監査法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)に独自で調査を依頼。「不適切な行為が行われた可能性を排除することはできない」という報告に基づき、今月11日、書簡で菊川会長らに辞任を求めていた。

臨時取締役会でウッドフォード氏が社長を解任されたのは、そのわずか3日後。同氏は過去の不透明なカネの流れを指摘したことが、突然の解任の原因だと主張している。

東洋経済では、解任後英国に帰国したウッドフォード氏に電話で単独インタビューを実施。胸中を聞いた(写真は、ウッドフォード氏(左)の社長就任会見、右は菊川会長)。
 


--今回、突然の解任となったがその感想は。

(14日に)緊急役員会が開かれる前に、自分がクビになることはわかっていた。菊川(剛会長)と森(久志副社長)が辞めるか、私が辞めるか、その2つしか選択肢はなかった。私は菊川と森がやめるのが合理的で賢い選択だと思っていたが。

しかし、役員会は私が辞めるべき、という結論を出した。私を辞めさせれば“嵐は去る”とでも思ったのだろう。

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