留学先で「パンに生えたきのこ」食べた彼女の結末 「薄暗い場所でものを食べてはいけない」と実感

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さらに円安が追い打ちをかけた。留学がスタートした2012年8月のノルウェークローネ(NOK:ノック、以下、NOK)は「1NOK、11円台」、これが9月に「1NOK、18円台」になった。

生活費は円が安くなった9月に1年分をまとめて振り込まれた。生活費を1カ月約3万円でやりくりしなければならなくなった。

そんな横山さんを支えたのがパンだ。物価高のノルウェーだが、生活必需品は価格を抑えられており、パンもその1つだった。

楕円形で小麦の外皮や他の穀類の種子、ナッツ類が入ったパンは茶色く、硬く、ずっしりと重い。横山さんは30センチくらいの長さの、1斤10NOK(200円くらい)ほどの一番安いパンを購入して、お腹を満たしていた。

「スライスしたパンに、同じく手頃な値段で買えるチーズをはさんで食べていました。大学のお昼もパンを持参するので、1日3食ほぼ同じものでした」(横山さん)

パンは1週間に2斤を買い、少しずつ食べる。徹底した節約生活だ。留学生の多くは同じような食生活をしていたという。

半年後、その出来事は起こった

さて、半年ほど経ち、生活にも慣れてきたある日、その出来事は起こった。

1限目の授業が始まってすぐ、「キューッ」っとしぼられるような腹痛に襲われたのだ。教室を出て、トイレに駆け込んだ。便座に座ったときには症状は限界MAXで、激しい下痢に襲われたという。

「同時に吐き気も襲ってきて、すぐに吐きました。その後は上からは嘔吐、下からは下痢。もう地獄です。でも、一向によくならない。腹痛もつらく、意識を失いかけました」(横山さん)

吐くものや出すものもなくなっても、症状は続く。それを耐え続け、粘液のようなものも出なくなった頃、症状は落ち着いた。授業はすでに終わっていたから、1時間くらいはトイレにこもっていたことになる。

症状から「食べ物が原因」というのはわかった。しかし、原因がわからない。なぜなら、「その日の朝も、いつもと同じパンを食べただけだったからです」(横山さん)。

ところが、寮に戻ってみると、テーブルの上にあるのは、“横山さんがこれまで見たこともないパンの姿”だった。

パンの表面には、うっすらと白くて雲のようなものが生えていた。近づいてよく見ると、1本1本が糸状になっている。そして、その先が丸く、まるでえのきのよう。――正体はパンに生えたカビだった。

「『原因はこれだ!』と確信し、残りのパンをすぐに捨てました」(横山さん)

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