このケンカに楽天が勝てるとは思わない。が、その“負け”はふるさと納税制度全体に、いい影響を与えないのではないか。というのも、自社が付与してきたポイントやマイルを禁止されたら、ふるさと納税から撤退するサイトが出てくる可能性もあるからだ。
これほどふるさと納税が広がったのは、前述した通りポータルサイトのおかげと言っていい。黎明期は個人がいちいち自治体を検索し、ホームページから「ふるさと納税」のページにたどり着くという手間をかけていた。しかも、掲載されている写真は自治体ごとにバラバラのクオリティ。スナップ写真みたいなものまであった。時代が変わって、今のポータルサイトはカタログのように美しく魅力的なビジュアルぞろいで、これもサイト側のフォローがあってこそ。ふるさと納税が1兆円超えとなったのには、ポータルサイトの整備と宣伝力なくしては実現できなかったはずだ。
つまりサイト側もビジネスとして取り組んでおり、自社を使ってもらう以上、自社のポイントを付与することで集客し、さらに自社サービスでポイントを使ってもらうよう期待するのは当然のこと。自社のメリットを完全に封じられたなら、うまみはないのでふるさと納税から撤退するという経営判断はあり得るだろう。
ポイ活民の心が離れていかないか心配
ふるさと納税自体にも賛否はあり、住民税が流出する一方の都市部にとっては「悪の法」だろう。片や、能登半島のように被災地支援のために寄付できる仕組みは素晴らしいと思う。ただし、お上が「こう決めました」とルールをどんどん変えるのは、最初からハンデありのケンカを見せられているような気がしてしまう。
「ポイント付与が無くなっても、ふるさと納税自体は減らない」という見方もあるが、それは半分だけ正しい。それまで使っていたポータルサイトが撤退すれば、消極的選択として「面倒だからしなくなる」ことはあるだろう。読んでいた雑誌が休刊になったため、雑誌そのものを読む機会が減るようなものだ。
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