ふるさと納税「ポイント禁止令」は悪手でしかない 「もぐらたたき」総務省"指導"はどう影響する

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そもそも、本当に「この自治体に寄付を」という気持ちで向き合っている人ばかりではない。欲しい返礼品の検索をしてから決める人が大半だろうし、SNSで「返礼品でコストコのクーポンが受け取れるから、実質年会費無料で会員になれる(現在はなし)」などの情報が飛び交う世の中だ。貯めていたポイントが使えたり、倍増できたりするサイトで、おトクに魅力的な返礼品をゲットできるからというのが、人々を動かしてきた強い動機・インセンティブだ。「おトクさ」をあからさまに削り落とそうとすれば、その心理に冷や水を浴びせるだけだろう。

物価高への対抗策として、「ポイ活」を挙げる人は多い。ふるさと納税でも、価格が高騰した日用品を選ぶ人も増えている。このように生活防衛の意識でふるさと納税を行っている人が増えている現状を、政府は重くとらえていないのではないか。

ポイント全面禁止は悪手にしか思えない

ポイントを禁止すれば手数料が下がるはず、というのものんきな錯覚だろう。不当な金額は正されるべきだろうが、企業は事業に見合う金額が稼げなければ、そこから手を引くだけだ。

ポイント全面禁止は自治体にとっても、ふるさと納税制度にとっても、悪手にしか思えない。

寄付をより多く集めたいなら消費者心理を研究すべきだし、手数料が問題だと言うならサイト側とそっちのルールを話し合うほうがいい。カード普及のためにマイナポイントを配った総務省なら、いかにポイントで人が動くかを知っているだろうに――。

今回の告示では、カード決済によるポイント付与は禁止に当たらないとしているが、次はそこがポータルサイト側の主戦場になりそうだ。いずれにしても、来年9月末までに、最後の駆け込み寄付でお祭り騒ぎになるだろうことだけは予言しておく。

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松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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