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「リンゴの落下から万有引力を発見」実は間違い? ニュートンの逸話に隠された「なるほど物理学」

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  • 野村 泰紀 カリフォルニア大学バークレー校教授
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ここで、「投げたボールは地面に落ちるのに、月が地上に落ちないのはなぜ?」と疑問をもつ人もいますよね。

投げたボールが地面に落下してしまうのは、ボールの軌跡が地面と交わってしまうからです。

地球は球なので、地面は平坦ではなく実は曲がっています。そこで、ボールの速度をどんどん上げていき、遠くまで飛ぶようにすれば、ボールの落下の幅と球面である地面の下がる幅が一致し、ボールと地面との距離は縮まらなくなります。

その結果、ボールは月のように、地面との距離を一定に保ったまま、地球の周りを回り続けることになるのです。

月が地球の周りを回り続けられる理由

このときの速度を、「第1宇宙速度」といいます。具体的には、秒速7.9キロメートルになります。さらに速度が上がり、秒速11.2キロメートルになると、地球の重力を振り切って地球から離れることができます。この速度を、「第2宇宙速度」または「脱出速度」といいます。

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しかし、地球の重力を振り切っても、今後は太陽の重力に捕らえられてしまいます。太陽の重力を振り切って、太陽系外へ飛び出していくために必要な速度は、秒速16.7キロメートルで、「第3宇宙速度」といいます。

円運動(正確には円に近い楕円ですが)をしている月は万有引力を受けているので、地球の中心方向に加速度をもっていることになります。したがって、円運動は加速度運動といえます。

このことを月の視点から見ると、月は加速度運動をしているので、地球と反対方向に遠心力が働くということになります。

つまり、月の視点では、遠心力と地球からの万有引力がちょうど釣り合っているため、月は地球に落ちることなく、地球の周りを回り続けているということになるのです。

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