創業10年で「味が完成」赤坂博多ラーメン店の格闘 マズいと言われてたのに…独学重ね"極上の一杯"に

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このままこの仕事は続けられないと退職をしたその頃、父が知人と2人で赤坂でラーメン店を開くことになる。

このお店がのちに馬場さんが引き継ぐことになる「博多ラーメン 和」だ。2014年3月オープンで、馬場さんが25歳の頃だった。仕事のなかった馬場さんはここで働くことになり、初めてラーメンの仕事に就く。

「博多ラーメン 和」
こちらは現在の「和」の様子。多くのラーメン好きが通う、人気店になっている(筆者撮影)

赤坂のオフィス街とはいえ、通りから一本中に入った場所で、売り上げがかなり厳しく、1年で店長が辞めることになった。このまま終わるわけにはいかないと思った馬場さんは父に「自分がこの店を立て直す」と言い、そのまま店を引き継ぐことになった。

しかし、飲食1年目の馬場さんにいきなり立て直すことはなかなか厳しく、ここから3~4年は前と同じ味で、安くてコスパの良い博多ラーメンを提供していた。ラーメン作りは素人だし、ラーメン業界に知り合いもおらず、味を変えるわけにもいかなかったのである。また、修業に出る金銭的な余裕もなく、やっていくのが精一杯な状態だった。

コロナで客足が急減、味の改良に勤しむ日々に

その後、コロナ禍になりお客さんが一気に減ったところで、時間のできた馬場さんは少しずつ味の改良を行っていく。

店主・馬場圭佑さん
調理中の様子(筆者撮影)

「お客さんの会話にそっと耳を傾けていると、『ここは安いから来ているんだ』と言っているのを聞いたり、お店の前を通った人が『この店マズいよね』と言っているのを耳にしたり……『このままこの店を続ける意味はあるのか?』と悔しくなっていったんです」(馬場さん)

また、九州出身でない馬場さんには、博多ラーメンは作れるわけがないと馬鹿にされていたのもあった。

「ここからは少し尖っていても7割のお客さんが満足できるものを作ろうとマインドを変えました。豚骨ラーメン店の厨房を撮影したYouTubeを片っ端から見ては、自分のラーメンで試してみることの繰り返しで少しずつコツをつかんでいきました」(馬場さん)

ここから豚骨ラーメン店の食べ歩きがスタートし、いろいろなラーメンを食べる中で、馬場さんは豚骨の熟成臭のあるラーメンを目指すことにした。YouTubeで3~4秒だけ映っている寸胴鍋を穴の開くほど見て自分のラーメンに生かしていった。

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