藤野 村上ファンドが否定されてから、PBR1倍割れの銘柄が一気に増えたんです。なぜなら、日本ではPBR1倍割れで会社を買ったとしても、バラ売りできないことが、ハゲタカ連中の間で周知されたからです。
中野 とはいえ、さすがにPBRは1倍を超えてきていますけれどもね。今、平均すると約1.2倍くらいじゃないですか。とはいえ、海外だとPBR2倍も珍しくないから、グローバルで見れば、まだまだ日本企業のPBRは低いということになります。
大事なのは「企業の稼ぐ力」
渋澤 やはり大事なのはEでしょう。つまり、Earningsという収益性が持続的に成功できるかどうか。Eが伸びないのに、PというPrice(株価)だけが伸びるというのは、どう考えても変な話です。
中野 議論がつねに価格のほうにばかり向いてしまうのが、今の日本の株式市場の問題なのですよね。大事なのは、渋澤さんがおっしゃったように、企業の稼ぐ力です。大事なおカネを運用するなら、もっとそこに目を向ける必要があります。
渋澤 まあ、今の株価が割高なのか、それとも割安なのか、そこはいろいろ議論があると思いますが、恐らく最近の下げ局面を見て、株式投資するチャンスと思っている個人もいらっしゃると思うのですね。たとえば6月に出たボーナス資金で投資するとかね。ただ、いずれにしても一発勝負ではリスクが高まりますね。コツコツ積立投資で臨むのが、いちばんいいのではないでしょうか。
中野 資産運用の王道が株式投資であることは否定しませんが、私は、証券会社の推奨銘柄は、できれば手を出さない方がいいと思います。
藤野 証券会社の推奨銘柄って、「水晶」占いで選んでいるから「推奨銘柄」っていう笑い話もあるくらいですからね。
もう、銘柄を当てに行くという発想は、やめたほうがいいでしょう。ファンドマネジャーにしても、値上がりする銘柄を当てる人が優秀という時代では必ずしもありません。そうではなくて、多くの人を幸せにするビジネスを育てられる企業に資金を配分するのが、私たち運用会社の役割だと思います。その結果が、「R&Iファンド大賞2015」の結果につながったと。
渋澤 お、さりげなく宣伝(笑)。ちなみに読者の方でご存じない方もいらっしゃると思うので、簡単に解説します。R&Iとは格付投資情報センターという、日本を代表する債券などの格付会社なのですが、そこが年1回、シャープレシオを用いた定量分析によって、優秀なファンドを選出するというものです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら