超緩和政策は金融市場に歪みをもたらした

低金利で得をしているのは一握り

低金利によって政府は安いコストで国債を発行できるようになった一方、意図せざる結果として資産バブルや格差拡大を招いた(eugenesergeev/PIXTA)

金融緩和により超低金利を続ける「金融抑圧」は、貯蓄する側を犠牲にして、借り手の利益を優先する。多くの場合、「借り手」は政府であり、新興諸国では無軌道な政府支出の財源を手当てするために、銀行預金者に支払われる金利を政府が低く抑え込んできた。

一方、7年前に先進国の中央銀行が基準金利をゼロ近くに抑え込んで以来、先進国の「金融抑圧」が目につくようになった。保険会社のスイス・リーが最近まとめた研究リポートが指摘するのは、低金利によって政府は非常に安いコストで国債を発行できるようになる側面があるという点だ。さらに意図せざる結果として、資産バブル、経済格差の拡大、将来のインフレリスクの高まりが生じているという。

株価インフレで経済格差拡大

インフレリスクについてはまだ判断が分かれるが、資産バブルと格差拡大は明らかだ。多くの国々で資産と株式市場が過熱している。

リポートではさらに、「株価インフレが経済格差を拡大させた」と分析する。米国では上位1%の世帯が金融財産を50%増やしたのに対して、下位90%は12%の利益しか手にしていない。下位20%の層はおそらく恩恵をまったく受けていない。

各国の中央銀行は、超緩和政策が金融市場に歪みをもたらしたと認めている。一つ例を挙げると、機関投資家、とりわけ保険会社や年金基金が深刻な打撃を受けている。

彼らは定率配当証券の大口保有者であり、その投資収益が大幅に下落。投資家や年金受給者に支払う収益が急減した。そこで必然的に、人々は個人個人で、退職後の所得を確保するために貯蓄を増やす必要に迫られた。

そのこと自体に景気を押し下げる効果があり、金融刺激策にマイナスの影響を与えている。各国の中央銀行が積極的な景気浮揚策を講じているにもかかわらず、経済成長を生み出すのにあまりにも長い時間がかかっている。

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