ユーロ圏の持つ「構造的な欠陥」とは何か

ギリシャに改革を求めるだけでは解決しない

主張が対立したドイツのメルケル首相(左)とギリシャのチプラス首相(右)。フランスのオランド大統領(中)が合意を働きかけたといわれるが……(©European Union, 2015)
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7月5日に行われたギリシャの国民投票では、EU(欧州連合)が求める緊縮策に対する反対票が6割を超え賛成票を大差で上回り、世界の金融市場には激震が走った。為替市場ではユーロは大きく下落、リスク回避の動きから円高となった。その後、ギリシャとそのほかのユーロ圏諸国との金融支援交渉が進展するとユーロは持ち直し、交渉の先行きが危うくなると下落するという不安定な動きを続けている。

ギリシャの財政危機は、2009年の政権交代の際に、それまでの政権が財政赤字の規模を過小に申告していたことが暴露されたことが直接の引き金となった。1999年に統一通貨ユーロが発足したとき、ギリシャは条件を満たせずに参加できなかったことに見られるように、元々、ギリシャの財政状況については不安が囁かれていた。

財政改革を行って、先発の国々に少し遅れて2001年に通貨ユーロを導入したのだが、振り返って統計をみると、財政赤字のGDP(国内総生産)比は3%を超えており、そもそもユーロに参加した時点からずっと条件を満たしていなかったことになる。

対外債務の返済には経常収支の黒字化が必要

ギリシャの債務問題では、政府が大幅な赤字を続け、政府債務残高が大きくなってしまったことが注目される。日本も同じように大幅な財政赤字を続け、政府債務残高が膨張しているが、これまでのところギリシャのような問題は起きていない。

日本とギリシャとの違いは、日本は国際収支(経常収支)が黒字基調だったのに対して、ギリシャでは赤字が続いていたことだ。

国際収支の各項目には、「経常収支+資本移転等収支-金融収支+誤差脱漏=0」という関係がある。2014年度の日本の国際収支統計で見ると、誤差脱漏がかなりの規模ではあるものの、この関係が成り立っていることが確認できる(注)。

(注)2014年に日本の国際収支統計はIMF国際収支マニュアル第6版に準拠したも のとなった。それ以前の第5版までは、「経常収支+資本収支+外貨準備増減+誤差脱漏=0」となっていた。資本収支から資本移転等収支が分離されて単独の項目となり、それ以外の部分と外貨準備の増減(正負の符号が逆に定義されるようになった)を合わせて金融収支という項目となった。

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