ギリシャ発の深刻な金融危機は起きない

HSBCのグローバル債券運用責任者に聞く

ギリシャ問題を受けて6月29日のアジアの株式市場は軒並み下落(ロイター/アフロ)
ギリシャ政府が7月5日に国民投票を行うことを発表し、先行きの市場は不透明感を増している。今年後半には米国の利上げという大きなイベントが控える。債券市場をめぐる波乱要因は絶えない。機関投資家はグローバルな債券市場をどう見通しているのか。HSBCグローバル・アセット・マネジメントのグローバル債券運用責任者、アーンスト・オシアンダー氏に聞いた(インタビューは6月26日に実施)。 

ギリシャ問題の市場への影響は一時的

――目先の注目はギリシャ情勢ですが、どう展望していますか。

いま世界をみたときに2つの大きなイベントが起きている。一つは米国のFFレート(政策金利)の引き上げ、もう一つがギリシャ問題だ。ギリシャは非常に緊急性を もった問題だが、最終的にはギリシャのほうが何らかの妥協をしなければならないのではないだろうか。というのも、ギリシャ国民の大半がユーロ圏にとどまり たいとの意向を持っている。ギリシャ政府はそれに沿った解決策をとらないといけない。

ギリシャとしてはギリギリまで交渉を引き延ばす意図があるかもしれない。6月末にIMFの融資15億ユーロというデットラインがあるが、延期される可能性もある。ベンチマークとして重要なのは、ECB(欧州中央銀行)に対する返済期限である7月20日だ。

――今後、ギリシャ問題がもたらすグローバル債券市場への影響は?

ギリシャ問題の決着の仕方次第では債券市場の反応は違ってくると思う。もしデフォルトなり、ギリシャがユーロ圏を離脱することになれば、短期的には コア債券市場と言われるドイツ国債や米国債にプラス影響が出る。一方、リスクの高い、周辺国であるイタリアやスペイン国債にはネガティブな影響が出てくる と思う。

――2012年までの欧州債務危機のように金融危機が伝播することはないのでしょうか。

スプレッドが拡大したり、ボラティリティが一時的に高まることはあるだろう。ただ、これはあくまでも一時的であって、長く続くものではない。市場は 次第に重要なファンダメンタルズに注目する。忘れてはならないのは、欧州は債務危機の経験から、さまざまな手段を設けていることだ。たとえば、ECBは OMTプログラム(国債買い取り)を用意し、量的緩和を実施し、そのほかにも救済プログラムを設けている。何かが起こったときに、金融資本市場をきちんと コントロールできるような手段を持っている。かつてのような金融危機の再現することはないだろう。一時的にボラティリティが高まっても、事態は十分抑えて いける。

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