ギリシャ発の深刻な金融危機は起きない HSBCのグローバル債券運用責任者に聞く

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Ernst Osiander ●HSBCグローバル・アセット・マネジメントのグローバル債券運用者。同社には2012年より勤務。1994年よりアセットマネジメント業界にて、債券・クレジット・カレンシー運用に従事。ミュンヘン大学で経済学専攻(撮影:尾形文繁)

――FRB(米国連邦準備制度理事会)の利上げは今年後半と予想されていますが、来年も含め、利上げの道筋をどのように見通していますか。

最初の利上げ時期はデータ次第だ。今年の9月なのか12月なのか、経済指標によってまだ流動的だと思う。それよりも重要なのは、いったん利上げされたとしても、その後の利上げのペースは緩やかで、ゆっくり進んでいくということ。2016年も利上げが続くとみているが、FOMC(米国連邦公開市場委員会)ごとに毎回自動的に利上げされるのではなく、利上げ後、ある一定期間をもって経済動向を評価し、利上げした後でも経済が良好だと判断したら次の利上げに向かうかもしれない。

――過去の利上げ局面とは何がいちばん異なるのでしょうか。

金利をノーマライズ(平常化)するプロセスだと思う。今回はインフレ圧力があって利上げしようとしているのではなく、FRBとしては少し様子見できる余地がある。米国経済は下半期に改善していくと思うが、まだ労働市場でウォーニング(警告)が出ている状況だ。

イエレン議長は過剰なリスクテイクに警告

――今年5月にイエレン議長が株式市場のバリュエーションに言及しました。バブルの懸念はないのでしょうか。

私はエクイティの専門家でないので慎重にコメントしたいが、一般論として、ほかのリスクの高いアセットと比べ、株式は安くなっていないと思う。イエレン議長は、過剰なリスクテイクに警告を発したのだと思う。

――6月のFOMCで金利の見通し(ドットチャート)が公表されましたが、FRBの委員らの見通しと、マーケットの金利先物の見通しに乖離があります。どう解釈すべきでしょう。

マーケットは米国経済の見方として独自なものを持っている。もしかしたら、FOMCよりも、よりネガティブな見方をしていることが原因かもしれない。FOMCのドットも常に一定ではなく、過去も変わってきた。マーケットはFOMCの見通しとして出ているものを100%正しいと信じていないことが、底流にあるかもしれない。

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