ギリシャ、素人政治の暴走でユーロ離脱か デフォルト迫る、国民投票後のシナリオ
財政破綻危機に瀕するギリシャ情勢が風雲急を告げている。
6月30日に欧州連合(EU)の二次支援プログラムの失効期限と国際通貨基金(IMF)向けに約15億ユーロの融資返済期限を控え、ギリシャ政府とEUやIMFなどの債権者団との間でギリギリの交渉が続けられてきた。双方が歩み寄りに向かっているとの期待感も一部で高まっていたが、時間切れ間近のところで協議は事実上決裂。債権者側から最後通告と受け止められる財政再建策を提示されたギリシャのチプラス首相は、財政再建策の受け入れを巡って7月5日に国民投票を実施する方針を明らかにし、金融市場に激震が走った。
ついに資本規制、世論に対してショック療法となるか
ギリシャ政府は国民投票の結果が判明するまでの間、月末に失効する予定の支援プログラムを一時的に延長することを債権者側に求めたが、債権者側はこれを拒否した。これによりギリシャが6月30日のIMF向けの融資返済を履行できないことと、追加の支援融資を受け取る権利を失うことがほぼ確実となった。
交渉決裂による財政破綻(デフォルト)が現実味を増すなか、ギリシャでは銀行の預金流出が加速している。週末には銀行のATMの前に預金を引き出そうとする人が列をなし、紙幣不足で預金が引き出せないATMが続出したとされる。現地の報道によれば、土曜日も窓口業務を行っている一部の銀行店舗に預金者が殺到したが営業を休止した。
欧州中央銀行(ECB)はこれまでギリシャの銀行に対して、預金の引き出しに応じるのに十分な流動性資金を供給してきた。だが、交渉決裂を受けてECBは28日、銀行からの預金流出の動きが加速しているにもかかわらず、緊急流動性の利用上限を据え置いた。このまま29日に銀行が営業を再開すれば、銀行は預金の引き出しに応じることができず、破綻に追い込まれる恐れが高まった。こうしてギリシャ政府は7月6日までの銀行休業と資本規制の導入を決断した。
2013年の銀行危機時に資本規制を導入した同じユーロ圏のキプロスでは、預金引き出しや海外送金の制限や報告義務が課せられた。資本規制が長期化すれば(キプロスの例では導入から解除まで約2年)、幅広い経済活動に影響が出てくる。
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