ギリシャ発の深刻な金融危機は起きない HSBCのグローバル債券運用責任者に聞く

拡大
縮小

――米国で利上げが始まると、グローバルなマネーフローに変化が起きるのではないでしょうか。

まず米国の利回りはベアフラット化(金利上昇かつ長短金利差が縮小)する。イールドカーブの3年から5年の部分が利上げ局面でいちばん影響を受ける。最初の利上げ前には、クレジットと新興国市場でボラティリティが少し高まる可能性もある。

――米国経済の成長期待が低下し、長期金利が上がりにくい状況にあるようです。

それも、ある程度は反映されていると思う。2015年第1四半期の米国経済はマイナス成長だった。ただ、利回りでみると、第2四半期以降、経済成長は改善を見込んでいる。インフレ率が低い水準にとどまるなら、利回りはそれほど大きくは上がらないと思う。

データを見ながら慎重に利上げ

――結局、FFレート(政策金利)は今回の利上げ局面で何%まで上がるのでしょうか。

データによって判断していくのでなかなか難しいが、おそらく過去の局面と比べて低く、3.5%までではないか。

――そうすると、1回の利上げで25ベーシス(0.25%)ずつ上げていっても、かなりの時間がかかります。そこまで景気拡大局面が続くということなのでしょうか。

経済拡大は続くと思っている。FRBとしては、そうした成長を止めるようなことは起こさないという態度だと思う。利上げを行い、経済動向をみて、経済成長が鈍化していると判断すれば利上げを中止し、いったん様子見していくだろう。

――日本では間もなく財政健全化計画がまとまります。

日本が高い債務を抱えているのは周知の事実だ。これに財政的側面から対策をとることはポジティブなこととして注目している。

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