崩れ落ちた中国株、相場暗転で何が起きるか 政府は矢継ぎ早に株価対策を実施

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政府の株価対策にもかかわらず、7月8日の上海総合指数は一段と下落した(写真:On Man Kevin Lee)

上昇一辺倒だった株式相場が瞬く間に暗転してしまった。中国の代表的な株価指数である上海総合指数は、直近1年で2倍以上にハネ上がり、年明け以降も6割上昇。その伸び率は世界の株式市場の中でも突出していた。ところが、6月12日につけた5166.35ポイント(終値ベース)をピークに、3週間余りで3割以上下落した。

急落のきっかけは複数挙げられており、中でも、高騰に警戒感を強めた中国政府が6月上旬、「場外配資」と呼ばれる株式投資向け融資の規制に乗り出したことが大きい。年初来高値をつけた同月12日、新規公開株の急落で損失を被った投資家が自殺したとの報道がなされたのも、センチメントの急激な悪化に影響を及ぼしたと考えられる。

個人投資家が意欲的だったワケ

市場ではこれ以上の需給悪化を防ぐため、30社近くの新株発行計画が凍結された。ほかにも、証券会社と政府系ファンドによる株式相場への多額の買い支えが発表されるなど、政府は矢継ぎ早に株価対策を打ち出している。

相場の雰囲気がガラリと変わったのは、これまでの株価上昇が景気実態を反映したものではなく、あまりに期待先行で買い進まれてきた側面が強かったからだ。工業生産の推移をはじめ、代表的な景気指標は2014年から低迷しており、同年11月から今年5月に至るまで、中央銀行である中国人民銀行は3度もの利下げを行っている。

にもかかわらず、相場の“主役”である個人投資家の意欲は、なぜ衰えなかったのか。

一つは、金融不安の沈静化がある。一時、中国では通常の融資とは別の「影の銀行」と呼ばれる取引で積み上がった、財テク商品や社債のデフォルト懸念が高まっていた。これに対し、中国人民銀行の金融緩和のほか、追加的な景気対策も功を奏し、市場は落ち着きを取り戻した。

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